歌手の橋幸夫(82)が20日、アルツハイマー型認知症であることを公表した。所属事務所「夢グループ」の石田重廣社長(66)が都内で記者会見を行い、明らかにした。
石田氏によると、昨年の夏頃にスタッフから「橋さんの言葉がおかしい」「何度も同じことを言う」と伝えられたという。石田氏もステージでのMCや自身との会話に異変を感じ、家族へ連絡。そこで、2022年にアルツハイマー型認知症と診断されていたことが判明した。23年に右頭頂葉脳梗塞(こうそく)を発症していることも明らかにしたが、認知症との関係は不明だとした。
言動に異変が認められた昨夏時点では「歌はしっかり歌えた」というが、今年1月頃からは「歌も忘れ始めた」と説明。「橋さんがショックだったのが、同じ言葉を繰り返すことでお客さんが笑うことだった。『真面目にしゃべってるのに何がおかしいんだ』と」。それ以降は石田氏もステージに立ち、MCをサポートしているという。
15日に大阪で開催した「夢グループ20周年記念コンサート」では、予定していた3曲を歌えず、橋が「社長、みんなに迷惑かけているならしばらく休む。俺、頭の中がさっぱり分からなくなっちゃうんだ」と吐露。しかし、医師からの助言も踏まえた上で石田氏が「何もしない生活にすればあっという間にガタガタと(症状が進行)するんじゃないかと。
橋は活動継続を喜んでいたといい、石田氏は「皆さんに不自然な動きを理解してくれとは言いません。(出来栄えは)50%、30%かもしれませんが、できるだけ(症状を)食い止めることができれば」と願った。本人の体調と意思次第ではあるが、21日にも神奈川・小田原で行われる「夢グループ」のコンサートに出演予定。「決して橋さんは負けません。橋さんは強い人です」と力を込めた。
◆橋 幸夫(はし・ゆきお)1943年5月3日、東京・荒川区生まれ。82歳。60年、「潮来笠」でデビュー。同年の日本レコード大賞新人賞、NHK紅白歌合戦初出場(通算19回出場)。舟木一夫、西郷輝彦さんと共に「御三家」と呼ばれ人気を博す。23年、歌手活動を一時引退。