◆テニス ▽全仏オープン(31日、フランス・パリ)

 【パリ31日=吉松忠弘】初優勝に挑む世界ランキング1位のヤニク・シナー(イタリア)が、わずか3ゲームしか落とさない圧勝で4回戦に進出だ。同34位のイジ・レヘツカ(チェコ)に6-0、6-1、6-2の94分で圧勝し、昨年全米1回戦からの4大大会の連勝を17に伸ばした。

「特に最初の2セット半は、本当に、本当にいいプレーができた」。攻撃的なプレーが軸のシナーにもかかわらず、凡ミスは3セットでわずか9本。攻撃に安定性もあり、相手はお手上げ状態だった。

 シナーは、昨年3月の米インディアンウェルズ大会で行われたドーピング検査で、筋肉増強作用のある禁止薬物が陽性反応を示した。しかし、シナー側は、スタッフが傷を治療するために禁止薬物を含むスプレーを使用したと説明。不正監視機関ITIAは、その説明を支持し、資格停止処分を科さなかった。

 この決定に対し、世界反ドーピング機関(WADA)が不服とし、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴した。その結果、今年の2月15日に、WADAは、シナー側と、2月9日から約3か月の資格停止で合意したと発表した。

 シナーは1月の全豪オープンで2連覇を達成した後、ツアーから離れ、全仏前哨戦のイタリア国際から復帰した。今回の一連の流れに、多くの選手からは「どう考えてもおかしい」、「世界1位だから特別扱いをされている」と、不満の声が噴出していた。シナーは「何も恥ずべきことはしていない」と潔白を主張している。

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