ラグビー元日本代表の“ミスターラグビー”松尾雄治氏(71)が3日、スポーツ報知の取材に応じ、巨人の長嶋茂雄終身名誉監督(報知新聞社客員)の死去を悼んだ。自身の現役時代の晩年から親交があり、「雄ちゃん」と呼ばれて、かわいがられた。
松尾氏は長嶋さんの訃報を受け、悲しみに暮れた。この日の午前、ニュースでミスターが亡くなったことを知ったという。「言うことがないというのが、正直な気持ちですね。僕は野球人ではないのに、ずいぶんお世話になりましたから。長嶋さんに会えて、ラグビーをやっていて本当によかった。力が抜けちゃいました」と、肩を落とした。
出会いは1985年1月の日本選手権。監督兼SOとして新日鉄釜石を史上初の7連覇に導いた引退試合に、長嶋さんが訪れた。その後、88年ソウル五輪を共に取材で訪れるなど親交を深めた両雄。思い出は「話せばきりがないです。本当にいっぱいありすぎて。
心に残る思い出が一つあるという。当初は現役引退後に父の会社を継ぐ予定だったが、長嶋さんから「スポーツ界で仕事をしていかなくちゃいかん」と諭され、翻意した。当時を振り返り「長嶋さんが僕の所に来て『新聞社は報知新聞、テレビは日本テレビ』と言うんです。その通りにしました」。その後、日本テレビの「独占!!スポーツ情報」のキャスターに就任し、スポーツ報知では評論家を務めた。「引退してから今に繋がっているのも、長嶋さんのおかげ」と、感謝は尽きることがない。
長嶋さんからは「雄ちゃん」と呼ばれ、公私で慕ってきた。生前のミスターの姿に「長嶋さんは、明るい方ですからね」と松尾氏。「スポーツ選手というのは明るくなきゃいけないと、長嶋さんを見ていつも感じていましたから。これから私も、日常でもいつも明るく接しようと。そういう気持ちです」。