沖縄県水連は2日、競泳日本代表選手と県内選手の交流などを目的とした「沖縄県招待スプリント」を、10月に開催することを発表した。同大会は、五輪2大会連続出場で50メートル自由形アジア記録保持者の塩浦慎理(ReCORE)がアンバサダーを務め、大会前には水泳教室も行われる。
今大会、そして水泳教室開催の最大の意義は、競泳に取り組むジュニアスイマーへ夢を与えること。塩浦は2023年11月、県内のスイミングスクールで水泳教室を開催。その際に「今まで水泳教室をしてきた中で、過去一番だった」という選手の反応に感銘を受けたという。県水連の川満正芳会長によれば、沖縄の選手が都心に出向くハードルは高く、全国大会の出場基準の厳しさなどから、トップ選手を間近でみる機会は少ない。その状況を知った塩浦は「沖縄の子どもたちに、何かできないか」と一念発起。「若い(現役)選手に、自分と同じ気持ちを経験してもらいたい」と言う思いも重なり、現役代表選手を招待しての大会開催に至った。
大会には、現時点でパリ五輪男子400メートル個人メドレー銀メダルの松下知之(東洋大)、男子自由形で世界選手権代表の村佐達也(イトマン東京)が参加予定。塩浦によれば、両選手からは「ぜひ、協力させてください」と快諾があったという。「4人ほどは呼びたい」と、今後も自身のネットワークをいかして招待選手の調整を進めていく。そして水泳教室に伴い、コーチ向けのクリニックも開催予定。クリニックには五輪2大会連続2冠の北島康介氏らを育て、松下を指導する平井伯昌コーチが参加予定となっている。
塩浦は言う。「こどもの頃に日本代表選手に会う、サインを書いてもらうなどの経験が、私がこどもの頃に五輪を目指そうと思うきっかけにもなっていて。そういう経験から、世界、五輪を目指そうという気持ちになると思う。目の前で日本代表選手が泳いで、すごく速いなとか、そうなりたいと思う瞬間がきっとあると思う。そういった体験を、作っていけたら」。この日、会見に同席した平良吏美華さん(那覇西高2年)も、塩浦の水泳教室に参加した1人。刺激を受け、ジュニアオリンピックで優勝するなど未来を担う。
2034年には沖縄県内で国スポの開催が予定されており、塩浦は自身の出身地で“競泳大国”の神奈川県と、しのぎを削ることを期待している。「沖縄の高校総体を見て印象的だったのは、皆さんがとても楽しそうで。記録を追い求める私たちが、忘れがちなところでもある。水泳って楽しい、そういったところを思い出させてもらった。その気持ちを大事にしながら、魅力を高めていけたら。