プロボクシングの元世界4階級王者で、前WBO世界スーパーフライ級王者の田中恒成(29)=畑中=が4日、名古屋市内で会見し、現役引退を発表した。昨年10月、初防衛戦でプメレレ・カフ(南アフリカ)に判定負けし王座陥落。
―冒頭あいさつを。
田中「きょうはここでプロボクサー田中恒成は引退することをご報告させて頂きます。引退理由は、けがが全ての原因。前回10月14日の試合前から両目の調子が悪く、試合前から両目の手術をすることを決めて試合に臨みました。しかし、試合が始まってすぐ右目が見えなくなり、3ラウンド目には光が消えた。試合後、手術は成功したが、両目で焦点を合わせることができなくなった。次、試合をすれば失明すると。リングへ上がる道がなくなり、引退することを決めました」
―(右目は)網膜剥離か。
「はい」
―引退を決めたのはいつ。
「明確にはわからないが、4月ごろ。(畑中清詞)会長だったり、トレーナーだったりに相談し、最後は自分で決めた。続けたかったが、現実的に不可能となり、引退を決めた」
―思い出に残る試合は。
「デビュー戦と、3階級制覇した木村翔選手との試合と、4階級制覇に挑んだ井岡一翔選手との試合です」
―指導してくれたトレーナーの父・斉さんへ。
「空手を始めたのは3歳の時。約30年。一切ぶれずに僕に人生をかけてくれた。(父は)自分に何があっても、仕事プラス稽古。高校生になるまでは365日。父の父が亡くなったときも『じいちゃんもそれを願ってる』と言って、練習。自分の人生をかけてくれて、はかりしれない感謝。
―ファンへ。
「ここまでたくさんの応援本当にありがとうございました。自分ひとりで頑張れないとき、声援があったからこそ、一度も諦めることなく戦えました。今ではたくさんの人に応援してもらえるようになった。ボクシングを通してかっこいい人になりたいと思い続けて、そういう人になれたかはわかりませんが、これからも、判断基準はかっこいいかどうか。これからも応援してもらえるよう頑張って生きていきたい。ここまでありがとうございました」
―今後は。
「何も決まっていないが、ボクシングには大きく関わっていきたいです」
◆田中恒成(たなか・こうせい)1995年6月15日、岐阜・多治見市生まれ。29歳。岐阜・中京高で全国4冠。高校3年時の2013年11月、プロデビュー。15年5月、国内最速5戦目でWBO世界ミニマム級王座獲得。