プロボクシングの元世界4階級王者で、前WBO世界スーパーフライ級王者の田中恒成(29)=畑中=が4日、名古屋市内で会見し、現役引退を発表した。昨年10月、初防衛戦でプメレレ・カフ(南アフリカ)に判定負けし王座陥落。

試合2日後には、自身のX(旧ツイッター)で現役続行の意向を表明したが一転、引退となった。引退理由は右目の網膜剥離。8月16日、名古屋・露橋スポーツセンターでの畑中ジム興行で引退式を行う。以下は会見の主な一問一答。

―冒頭あいさつを。

 田中「きょうはここでプロボクサー田中恒成は引退することをご報告させて頂きます。引退理由は、けがが全ての原因。前回10月14日の試合前から両目の調子が悪く、試合前から両目の手術をすることを決めて試合に臨みました。しかし、試合が始まってすぐ右目が見えなくなり、3ラウンド目には光が消えた。試合後、手術は成功したが、両目で焦点を合わせることができなくなった。次、試合をすれば失明すると。リングへ上がる道がなくなり、引退することを決めました」

 ―(右目は)網膜剥離か。

 「はい」

 ―引退を決めたのはいつ。

 「明確にはわからないが、4月ごろ。(畑中清詞)会長だったり、トレーナーだったりに相談し、最後は自分で決めた。続けたかったが、現実的に不可能となり、引退を決めた」

 ―思い出に残る試合は。

 「デビュー戦と、3階級制覇した木村翔選手との試合と、4階級制覇に挑んだ井岡一翔選手との試合です」

―指導してくれたトレーナーの父・斉さんへ。

 「空手を始めたのは3歳の時。約30年。一切ぶれずに僕に人生をかけてくれた。(父は)自分に何があっても、仕事プラス稽古。高校生になるまでは365日。父の父が亡くなったときも『じいちゃんもそれを願ってる』と言って、練習。自分の人生をかけてくれて、はかりしれない感謝。

そんなに重いものじゃないが、ありがとうと言いたい」

 ―ファンへ。

 「ここまでたくさんの応援本当にありがとうございました。自分ひとりで頑張れないとき、声援があったからこそ、一度も諦めることなく戦えました。今ではたくさんの人に応援してもらえるようになった。ボクシングを通してかっこいい人になりたいと思い続けて、そういう人になれたかはわかりませんが、これからも、判断基準はかっこいいかどうか。これからも応援してもらえるよう頑張って生きていきたい。ここまでありがとうございました」

 ―今後は。

 「何も決まっていないが、ボクシングには大きく関わっていきたいです」

 ◆田中恒成(たなか・こうせい)1995年6月15日、岐阜・多治見市生まれ。29歳。岐阜・中京高で全国4冠。高校3年時の2013年11月、プロデビュー。15年5月、国内最速5戦目でWBO世界ミニマム級王座獲得。

16年12月、同ライトフライ級王座獲得。18年9月、木村翔から同フライ級王座を奪取し世界最速タイと12戦目での3階級制覇達成。20年12月、同スーパーフライ級王座に挑んだ井岡一翔戦でプロ初黒星。24年2月、空位となっていた同王座決定戦を制し、4階級制覇達成。身長165センチの右ボクサーファイター。プロ通算20勝(11KO)2敗。アマボクサーの兄・亮明さんは東京五輪銅メダリスト。

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