◆プロボクシング ▽WBO世界ウエルター級(66・6キロ以下)タイトルマッチ12回戦 王者・ブライアン・ノーマン・ジュニア―同級2位・佐々木尽(6月19日、大田区総合体育館)
日本人初のウエルター級世界王者を目指すWBO同級2位の佐々木尽(23)=八王子中屋=の挑戦を受けるWBO同級王者・ブライアン・ノーマン・ジュニア(24)=米国=が5日、羽田空港着の航空機で来日。「誇張ではなく、自分は人生をかけてこのウエルター級に挑み、そして王者になった」と語ると、中指の付け根が隆起した拳を掲げて「この拳を見てもらえばどれだけの努力を重ねてきたか分かると思う。
ノーマン・ジュニアは昨年5月のWBO世界同級暫定王座決定戦でジョバニ・サンティリャン(米国)に10回KO勝ちして王座獲得。同年8月、正規王者テレンス・クロフォード(米国)が王座を返上したため、正規王者に認定された。今年3月、米ラスベガスで挑戦者デレク・クエバス(プエルトリコ)を3回TKOで退け初防衛に成功。佐々木はこの試合を現地で視察し、試合後にノーマン・ジュニアの前で「挑戦状」を読み上げ対戦を直談判した。
佐々木の「挑戦状」については「彼が挑戦状を叩きつけたというような言い方になるかもしれないが、自分をリスペクトして、とても謙虚に、自分の言葉を使って話してくれた。そういった彼のボクシングに対する謙虚で真面目な姿勢も受け止めた」と好印象を抱いたことを明かした。
また、佐々木のボクシングに対しては「もちろん彼のファイトスタイルは好き。彼の力も素晴らしい。ファンが求めるものを見せることが出来るというのも自分と共通している」と語り、「いい試合が出来ると思う」とうなずいた。
ウエルター級世界戦の日本開催は、1989年12月10日に東京・後楽園ホールで尾崎富士雄(帝拳)がWBA王者マーク・ブリーランド(米国)に挑戦し4回TKO負けして以来、36年ぶり。
ノーマン・ジュニアも、日本人にとってウエルター級が高い壁であることを理解しており「自分の力を証明して強さを見せられれば、(日本人でも)ウエルター級でチャンスが得られるというところを佐々木選手が示してくれていると思う」と話した上で、佐々木に対し「自分自身、王者に君臨するため、人生の痛みを経験し、それを乗り越えてきた。自分と同じかそれ以上のクオリティーを持ってこなければいけないというところを分かってほしい」と忠告した。
また、世界でも最激戦階級の一つであるウエルター級王者として、「過去の偉大なボクサーたち、モハメド・アリ、シュガー・レイ・レナード、シュガー・レイ・ロビンソン、フロイド・メイウェザーら、彼らがたどってきた道を自分自身も遂行し、越えていきたい」とレジェンドたちの名を挙げて壮大な夢も明かした。
戦績は佐々木が19勝(17KO)1敗1分け、ノーマンが27勝(21KO)1無効試合。
興行は、NTTドコモ映像配信プラットフォーム「Leminoプレミアム」で配信される。