3日に亡くなったプロ野球元巨人監督の長嶋茂雄さん(享年89)の名を冠した野球場が熊本県天草市にある。長嶋さんが市内のトライアスロン大会を振興した縁で、1989年に球場を「長嶋茂雄球場」と命名。

当時を知る人々は「大きな心の支えを失った」と悼みつつ、長嶋さんとの思い出を次世代に伝えていこうとしている。

 熊本といえば、V9監督の川上哲治氏の出身地だが、長嶋さんとの縁も深い。ミスターは85年、日本トライアスロン連盟(当時)の会長に就任。同年から熊本県本渡市(2006年から天草市)で始まった「天草国際トライアスロン大会」に、92年の巨人監督就任まで毎年訪れた。開会のあいさつをし、スターターを務めた。スタート前の選手と会話をしたり、大会ボランティアとも記念撮影。天草市役所スポーツ振興課は「天草がトライアスロンの聖地になったのも、長嶋さんのおかげ」と話す。

 市職員として大会誘致に携わった楠本千秋さん(75)は「気さくな人柄で、当時は長嶋さんを見に来た人で会場がいっぱいだった。天草を世界に知らしめてくれた」と振り返る。別の関係者も「競技の知名度以上に人が集まり『長嶋効果』のすごさを感じた」と話した。

 89年、当時の本渡市に野球場が新設。人気にあやかろうと、長嶋さんの了解を得て「長嶋茂雄球場」と命名された。

長嶋さんも記念植樹に訪れた。92年には、本人の手形が入った記念碑も設置。球場は市の野球大会の会場などとして使われている。

 楠本さんは訃報を受け「今でもスーパースターで心の支え。大きなものを失った。若い人たちには、天草との縁があったことを伝えていきたい」と悼む。

 球場では午前9時から午後4時までスコアボードに「長嶋茂雄さん ありがとう!」の文字を表示している。天草市役所では5日から13日まで、本庁舎1階に記帳台を設置。ゆかりの写真を展示するなど、天草の恩人に感謝の気持ちを伝えている。

 〇…長嶋さんの故郷・佐倉市にも、その名を冠した「長嶋茂雄記念岩名球場」がある。3日から球場入り口に記帳台が置かれており、この日も多くの人が訪れた。佐倉市によると、昨日の時点で600人以上が訪れており「途切れることがないくらいの人に記帳いただいている」という。

バックスクリーンの電光掲示板には「長嶋茂雄さんありがとう」の文字が映されていたが、この日は軟式野球の試合があったため表示されず。3日に記帳に来た70代女性は「いてもたっても佐倉と言えば長嶋さん。佐倉出身と言うだけで、長嶋さんの故郷だねって言われるのがうれしかった」と感謝する。佐倉市内では、市役所にも記帳台が設置。こちらも前日の時点で150人が記帳した。

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