◆プロボクシング バンタム級(53・5キロ以下)10回戦 那須川天心―ビクトル・サンティリャン(6月8日、東京・有明コロシアム)

 前日計量が7日、東京・後楽園ホールで行われ、世界前哨戦に臨むWBC世界バンタム級1位の那須川天心は、キックボクシング時代も含めて初めてパンツも脱いで全裸となり、リミットを100グラム下回る53・4キロでクリアした。対戦相手のWBA6位ビクトル・サンティリャンも同じく全裸となり、リミットの53・5キロでパス。

同級2団体王座統一戦に臨むWBC王者・中谷潤人とIBF王者・西田凌佑は、ともに全裸になることなく一発でクリアした。

 天心がキックボクサー時代を含め、プロ公式戦54戦目にして「初めて」パンツを脱いで計量をクリアした。ライブ配信中の全裸計量にも「恥ずかしさは全然ない。いつかは全国の前でさらしてやろうというぐらいの気持ちはありますからね」とサラリと言ってのけた。

 予備計量で約200グラムアンダーだったため「ギリギリで(体重計に)乗りたい」と水分を摂取したところ、本計量でまさかのオーバー。すぐに首にかけた応援グッズ「気持ちお守り」を外し再計量に臨んだが、再び超過。左腕の「光るリストバンド」も外し、深く息を吸い込んでから挑んだ3度目もクリアできず。最終的には赤いタオルでガードされて全裸となり、4度目でようやくリミットを下回った。

 「すぐ(パンツを)脱ごうとしたら、すかさずインスペクター(試合進行役員)の山本さんが止めに入ってくれて、赤い闘魂タオルで守ってくれた。公共の場で僕のすっぽんをさらさずに済んだ」。秘部を死守した、日本ボクシングコミッション(JBC)のインスペクターを務めるお笑いトリオ・ロバートの山本博(46)に感謝した。

 日本人世界王者4人が君臨する群雄割拠のバンタム級。

天心は「僕の中ではRPGゲームだと思っている」と語り、王者4人を「四天王」としたRPGに例えて自身の立ち位置を表現した。「四天王を倒したところでゲームは終わらない。今回の試合に勝つことは、ジムリーダーを全員倒して四天王と戦う権利を得る、全部バッジをそろえる、みたいなものかなと思う」

 有明コロシアムには、スペシャルゲストとして来場するWBO王者・武居由樹(大橋)、WBA休養王者・堤聖也(角海老宝石)を含め「四天王」が勢ぞろいする。「統一戦も行われる中でのセミファイナルなので、比べられる。『那須川天心も次(世界に)行けるんじゃないか』と思われるような試合をしたい」。最終関門を突破し、世界への扉をこじ開ける。(勝田 成紀)

◆山中慎介氏Point

 スピードで勝る 天心のスパーリングを何度か見たが、コンディションはいいようだ。サウスポー対策として前の手となる右の使い方もうまくなっている。世界ランカーのサンティリャンは上体が柔らかく、テクニシャンではあるが、天心とではスピードが違う。さらにモロニー戦で接近して打ち合いをした自信から、スパーリングでは積極的に打ち合いを仕掛ける場面も増えた。モロニー戦より、さらに進化した姿を見せるはずだ。

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