大相撲の元横綱・白鵬の宮城野親方(40)が7日、故郷のモンゴルから成田空港に帰国し、日本相撲協会を9日付で退職することが正式に決まって以降、初めて日本の報道陣の取材に応じた。退職については「9日に全て話しますから」と話すにとどめ、同日に都内で開く予定の記者会見で説明する意向を示した。

また、親交のあったプロ野球・巨人軍終身名誉監督の長嶋茂雄さん(享年89)の訃報については「残念です」などと悼んだ。

 表情は終始、穏やかだった。8日ぶりに帰国した宮城野親方は、退職を巡る質問に少し考え込む様子を見せたが「9日に全て話しますから。すいません」と丁寧に返答。居合わせたファンからのサインの求めには立ち止まって応じた。今回の里帰りは、レスリングの1968年メキシコ市五輪銀メダリストで18年に他界した父・ムンフバトさんの銅像除幕式に出席するため。高さ約8メートルの銅像の感想を聞かれると「感動しました。すごく似ていた」と笑顔も見せた。

 退職が正式に決まったのは離日中だった。宮城野親方は元幕内・北青鵬(23)の暴力問題で宮城野部屋が閉鎖となり、昨年4月から師弟で伊勢ケ浜部屋に転籍。処分から1年以上が経過しても、部屋の再興が見通せない状況への不満などから夏場所後に退職届を提出し、5月30日に故郷のモンゴルに出国した。協会側は今月2日の臨時理事会で本人の意思が固いとして、9日付での受理を決めた。

 モンゴルに滞在中の3日に、長嶋茂雄さんが亡くなった。10年12月に女子プロゴルファー・宮里美香(35)の祝勝会で初対面して以来、何度か食事をするなど親交があった。プロとしての心構えを教わるなど尊敬しており「私もジャイアンツファン。相撲も本当によく見に来てくださっていましたから。残念です」と悼んだ。

 関係者によると、宮城野親方は既に退職後の活動に向けた準備も進めている。14日には都内で後援者らを招いた「応援する会」を企画。その前の9日に開く会見で、夢である相撲の世界的な普及への思いなど今後についても語るとみられ、注目が集まる。(林 直史)

 ◆宮城野親方の退職を巡る主な経過

 ▽24年2月21日 元幕内・北青鵬が日常的に後輩力士に暴力行為を働いたことを受け、日本相撲協会のコンプライアンス委員会が引退勧告の処分案をまとめたことが判明。

 ▽同23日 協会の臨時理事会で北青鵬の引退届を受理。宮城野親方は委員から年寄への2階級降格などの処分に。

 ▽同3月28日 理事会で4月以降は親方や力士が伊勢ケ浜部屋に一括預かりとなることが報告される。

 ▽同4月7日 旧宮城野部屋から力士ら約20人が伊勢ケ浜部屋に引っ越し。翌8日に稽古を開始。

 ▽25年4月9日 「文春オンライン」が協会を退職する意向であると報じる。宮城野親方は否定。

 ▽同5月30日 父の銅像の除幕式出席のため、モンゴルへ出国。夏場所後に協会に退職届を提出したことが判明。

 ▽同6月2日 協会が臨時理事会を開き、9日付の退職届の受理を可決。

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