◆サッカー◇静岡県高校総体 ▽決勝 浜松開誠館1―0藤枝東(7日・エコパスタジアム)

 男子決勝は浜松開誠館が藤枝東を1―0で倒して初優勝。前半4分にFW松下蓮(3年)が先制点を奪うと、前線からの激しいプレスで相手に決定機をほとんどつくらせなかった。

全5試合を無失点で制し、7月26日開幕の全国高校総体(福島)出場権を獲得した。

 過去2度の静岡県大会決勝で涙をのんできた開誠館が、3度目の挑戦で新たな歴史の扉を開いた。試合終了の笛が鳴ると、80分間走り回った選手たちはピッチに倒れ込み、ベンチを飛び出した控えメンバーと笑顔で抱き合った。05年の創部から指揮を執る元Jリーガーの青嶋文明監督(56)は「球際で強く当たり、攻守一体となって攻めるのが開誠館のスタイル。選手が一生懸命やってくれました」と褒めた。

 前半4分、右からのクロスのこぼれ球を、中央から走り込んだ松下が決めた。今大会は初戦で2点取って以降はゴールがなく「絶対に決めてやろうと思っていました」と声を弾ませた。主将のMF川合亜門(3年)らと同じ、付属中の出身。中3だった3年前に全国中学校体育大会で日本一に輝いた代だが「自分はスタメンじゃなくベンチでした」と明かす。高校では肉体改造に着手。毎日の筋トレに励み、50メートル走は高1時の6秒9から6秒3まで向上した。前線からの激しいプレスにも全力で向かい、チームのために走り続けた。

 ボールを追い、はがされても走って挟み込むハイプレスがカギだった。4月のプリンスリーグでは藤枝東に0―1で敗れており、川合主将を中心に「引いて守ってしまった。リベンジするためにプレスをかけよう」と意思を統一。準決勝で前回王者・静岡学園を押し込んだプレスで、この日も名門校にペースを握らせなかった。開誠館に進んで6年目の主将は「新しいページをつくったことで、チームに恩返しができました」と笑った。

 松下は全国での目標を「ベスト8です」と掲げる。課題は得点力で、指揮官も「2点目、3点目を取れるようにならないと」と注文した。この日のシュートは13本と、形はつくれている。全国総体までの2か月弱で精度を上げて、戦う準備を整えていく。

(里見 祐司)

〇…開誠館が無失点締めで初優勝に彩りを添えた。全5試合を守り抜いた身長184センチのGK吉田壮馬(3年)は「うれしい。前からプレスをかけてくれたので、めちゃ助かりました」と仲間に感謝した。

 先制ゴールの起点にもなった。「狙っていた」と、前半4分に藤枝東DF陣の背後へロングフィード。これをMF岡田瑛太(3年)がピタリとトラップしたことが松下の得点につながった。「キックはうまくなかったんですが、試合ごとに成長できました」と笑顔で話した。

 後半は攻められる時間もあったが、13分のシュートをパンチングでセーブするなど抜群の反応で防いだ。「総体では大津(熊本)と戦いたい。(22年度の)選手権で負けているので借りを返したい」。全国の舞台で、さらなる成長を遂げる。

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