◆柔道 世界選手権 第5日(17日、ブダペスト)

 男女2階級が行われ、男子90キロ級で昨夏パリ五輪銀メダルの村尾三四郎(24)=JESエレベーター=、女子70キロ級の田中志歩(26)=JR東日本=がともに初優勝を果たした。同学年で、小学校時代に相撲で対戦経験のある横綱・大の里(25)に刺激を受け、世界選手権で初の頂点に立った。

 柔道界の“横綱”へ村尾が階段を上った。決勝で昨年王者の田嶋剛希(パーク24)に延長戦の末、指導3の反則勝ち。日本男子の鈴木桂治監督を「鉄壁だ」とうならせる初優勝に、村尾も「村尾三四郎の柔道を世界に見せてやろうという思いだった」と胸を張った。

 夏場所(5月)後、横綱昇進を果たした大の里(二所ノ関)とは同学年。小学6年時のわんぱく相撲で勝つなど、今でも本場所を現地、テレビ観戦するなど角界通だ。「すごく刺激になっている。上を目指さないと」と、かつてのライバルの躍進に闘志を燃やし、決戦の地に乗り込んでいた。

 悲願の世界王者の肩書きを手にした。「ノリに乗ってという感じではなく、自分のパフォーマンスをしっかりやり切った」と、泰然とした姿も最高位を印象づける。2028年ロス五輪に向け、新たな一歩を踏み出した24歳は「また次に向かって、やっていきたい」。タイトルを重ね、男子90キロ級の“番付”を確かなものとする。

 ◆村尾 三四郎(むらお・さんしろう)2000年8月28日、米ニューヨーク生まれ。

24歳。2歳で日本に移り、茨城県内に引っ越した5歳から柔道を始める。18年世界ジュニア90キロ級銀メダル。19年世界選手権団体金。24年パリ五輪は初出場で銀。父は日本人で母が米国人。左組み。180センチ。

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