9月の東京世界陸上男子マラソン日本代表の吉田祐也(28)=GMOインターネットグループ=が19日、東京・渋谷区の同社第2本社で報道各社の取材に応じ、6位入賞を目標とすることを明かした。「21年東京五輪で6位入賞した大迫傑さんを超えたい」と意欲的に話した。
青学大出身の吉田は、原晋監督が「青学大史上最も練習した男」と評する努力の選手。現在も青学大を練習拠点として原監督の指導を受ける。「長嶋監督が松井さんの素振りの音で調子を見極めたように、原監督は僕の足音で調子を見極められます」と話す。6月3日に肺炎のため89歳で死去した巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(報知新聞社客員)が、まな弟子の松井秀喜さんの素振りの音で調子を見極めたというエピソードを挙げて原監督への絶対の信頼を明かした。「『足音がベタッ、ベタッとなっている時は良くないよ』とか原監督は擬音を使います。それが分かりやすいです」と吉田は笑顔で話した。
吉田は、青学大2、3年時はチーム11番手の選手で、惜しくも箱根駅伝出場を逃したが、4年目にして初出場となった20年箱根駅伝の4区で区間新記録(当時)で区間賞を獲得して優勝に貢献。大手町で歓喜の涙を流した。さらに1か月後の別府大分毎日マラソンで日本学生歴代2位(当時)の2時間8分30秒と好走した。
社会人1年目の20年福岡国際マラソンで2時間7分5秒の好記録で優勝。目標としていた24年パリ五輪出場を逃したが、同年12月の福岡国際マラソンで日本歴代3位の2時間5分16秒で優勝。25年東京世界陸上の日本代表に選出された。
世界陸上男子マラソンは9月15日午前8時スタート。暑さも予想されることについて「暑さに対して苦手意識はありません。ただ、日本陸連の分析によると体質的には暑さに強くないらしいです。今後、科学の力も使って暑さに強い体にして、元気な状態でスタートラインに立ちたい」と前向きに話した。
常に、自身の体と向き合い、大学1年の3月を最後に故障をしていない。長距離ランナーとしては、それだけで「偉業」と言える。「頑丈な体で生んでくれた親に感謝します。4歳の時には、生きるか、死ぬかの交通事故に遭いましたが、運が良かった。これまで出会った人に恵まれました」と柔らかな表情で静かに語る。
6月1日に横浜市の日体大横浜健志台キャンパス陸上競技場で行われたニッタイダイ・チャレンジ・ゲームズ5000メートルでは13分29秒93で走破。昨年にマークした13分30秒91の自己ベスト記録を約1秒更新した。「マラソン練習を積んでいる中でトラックで自己ベスト記録が出て、ここまで順調です」と手応えを明かす。
今後、北海道・函館ハーフマラソン(29日)に出場。夏は長野・菅平高原などで青学大の後輩たちと合宿を重ね、大一番に臨む。