Jリーグ・神戸などでDFとして活躍した近藤岳登(44)は現在、ラジオ局「Kiss FM KOBE」でパーソナリティーを務め、さらに伝統工芸のプロデュースに乗り出すなど、マルチな活躍を見せている。「職業は情熱家」と熱いが、切望するMBSテレビのドキュメンタリー番組「情熱大陸」の出演オファーは、まだ届かない。

「今今今」を大事にする生きざまを、陽気に語った。(聞き手・田中 昌宏)

 Kiss FM KOBEの「Viva la radio」(金曜・前11時30分)が絶好調の近藤。4月の関西ラジオ12局同時生放送イベントにも、同局の代表として出演した。21年頃には“大食いキャラ”を生かして全国ネットのバラエティー番組にも出演していたが、軸足はラジオに移ったのだろうか。

 「言われた通りにやっても面白くなかった。だから台本にないことをバンバンぶち込んで。手応えバッチリだったけど、オンエア見たら全部カット(笑)。自分には向いてなかったです」

 それから大事にしているのは生放送の空気感。担当番組には台本がないという。

 「スタッフが『こいつ、台本あったら面白くないぞ』って気づいてくれて(笑)。だから曲紹介とか、次の番組のフリとかが苦手。こないだも『坂本美雨のディアフレンズ』っていうところを『坂本冬美の』と…」

 現役晩年から吉本興業に所属。

引退直後、19年の「R―1ぐらんぷり」ではJリーガーをネタにしたフリップ芸で準決勝に進出した。職業は「サッカーの心得が多少ある芸人」といったところか。

 「誰が多少の心得や! 職業は情熱家。目標は『情熱大陸』に出ること。オファー? ない。機が熟してない」

 なぜかちょっぴり上から。ラジオ出演も好評ではあるが、週1回のみだ。

 「どうやって食ってんの…って思われてますよね。今の収入は現役時代と一緒くらい。コロナの時は仕事が全部なくなって地獄を味わいました。Jリーガーの時に買った時計とか売りまくって耐え忍びました。でも独身だしね。

僕は“今今今”で、生きるカネを使いたい。だから貯金もしない」

 現在、ライフワークと位置づけて“生きるカネ”をつぎ込んでいるのは、伝統工芸のプロデュースだ。

 「ギャラリーカフェをやりたくて。伝統工芸を扱いながら、陶芸作品でコーヒーをいれようと。最初は丹波の立杭焼を自分で作ったりしてたんですが、今はプロデュースする側に回ってます。職人さんたちって、ストーリーを発信するのが下手。僕のような目立ちたがり屋が発信する方がいい」

 販売展示会を年3、4回ペースで開催。6月28、29日にも神戸市内の「VAGUE KOBE」で木工、陶芸の職人と作品が一堂に会するイベントを催す。

 「去年の11月、パリでも展示販売会をやりましたが、死ぬほど売れませんでした(笑)。計画通りにはいかないもんです。人生には台本がない。だから番組にも台本なんか要らないんですよ!」

 ◆近藤 岳登(こんどう・がくと)1981年2月10日、愛知・豊川市出身。

44歳。愛知産大三河高を経て大体大に進学するが中退。22歳で滋賀県に設置されたばかりのびわこ成蹊スポーツ大に1期生として入学。07年、26歳にしてJリーグ・神戸入り。当初はFWだったが、09年頃からサイドバックに転向し、11年にはキャリア最多の公式戦20試合に出場した。13年に水戸、14年に当時関西1部リーグだったFC大阪に移籍。17年限りで現役を引退した。174センチ、71キロ。独身。

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