3月末から「NHKニュースおはよう日本」(月~木曜・前5時)の6時台・7時台のキャスターとして“コンビ”を組む高井正智、中山果奈の両アナウンサー。あうんの呼吸で平日の朝を彩る2人の間柄や素顔に迫った。

(田中 雄己)

 本番を終えたばかりの2人は、高揚や緊張から解放されたように、リラックスしていた。「反省会をして、軽くご飯を食べてきました」。にこやかに笑った高井アナ。そして、中山アナも本番同様に、高井アナの右隣からほほ笑んだ。

 “バディ”を組んで約3か月。高井アナは「予想以上に、息ピッタリ」と声を弾ませた。

 高井アナ(以下、高)「放送初日。『おはようございます』の瞬間に、足元から視線を上げるんですけど、ピッタリ合ったんです」

 中山アナ(以下、中)「(後輩アナの)是永(千恵)さんは『前世は双子だったんじゃない?』って(笑)。あいさつも人によってタイミングが違いますし。その瞬間、私も『もしかしたら相性が良いのかも』って」

 初日の「あいさつ」から、2人は呼応するように意思疎通した。

 中「どんどん考えていることが分かってきて」

 高「だんだん癖も読めるようになってきました」

 中「私、空いている時間にスタジオを歩き回って考えごとをしていまして…」

 高「僕が『本当に考えている表情だから静かにしておこう』と。微妙な表情の違いで分かりますね。

横にいないと分からない気がします」

 全速力で駆けた3か月。伴走する2人は、激変した生活スタイルも同じだ。

 高「僕は、2時10分に起きる。10分は、少しでも長く寝ていたいという思いがありまして。ご飯を食べて、まだ暗いうちに家を出て。4時20分から打ち合わせを始めるという感じですかね」

 当然、就寝時間も早く、「夕方6時」(中)と「夜7時半」(高)。

 中「私は帰ったらカーテンを閉めて、午後3時くらいから『あなたは寝るんだ』と暗示をかけて(笑)。アイマスクをつけて寝ます」

 高「家族が起きている時に眠るので、僕も耳栓をして」

 中「金曜日は『おはよう―』以外の仕事ですので、朝3時半に来るわけじゃなくて。まだ体は慣れ切っていない感じもします」

 高「私は『魔の木曜日』と呼んでいて。木曜日に早く寝ると、次の日の仕事に支障が出てしまう。木曜日は頑張って、夜9時くらいまで起きるようにしています」

 中「これが、私たちの夜更かし(笑)。9時頃が限界ですね」

 質疑応答の度に互いに顔をのぞき込み、話題を振り合う。

長年、共演しているかのような信頼感が伝わってきた。最初の3か月を、中山アナは「毎日が印象深かった」と振り返った。

 中「(出演する)6時から8時の間は常に考えて、動いていて。ニュースの情報性を高めることを目標に、制作の皆さんも向かっていて、私たちもどうしたら、より分かりやすく伝わるかと」

 高「トランプ大統領の一言で、世の中がひっくり返るような日々。僕が眠る時間が、ワシントンでは朝の6時半。目が覚めると世界が変わっているという状況が続いて。常に、世界は動いている印象です」

 ハードな日々を闘うために、高井アナの日課は放送前の栄養ドリンク。

 中「2時に朝食を食べても、持たないです。放送直前にちょっと食べたり」

 高「(本番中に)おなかが鳴ることもありますから」

 中「よく鳴ってますよね(笑)」

 2人は、手をたたいて笑い合った。報道の正確さやスピードも大切にしつつ、意識するのは「心」だ。

 中「高井さんや私は、どこかカッチリしたイメージがありまして。昨年度末に動画を撮影した際も『中山さんって笑うんですね』というコメントも頂いた。

きっちり情報をお伝えしつつ、皆さんと、より心を通じ合わせていきたいです」

 高「視聴者の方に『朝は、おはよう日本で始まるんだよ』とおっしゃっていただいたことがあって。本当にありがたいお言葉です。ニュース番組ですから楽しいというわけではないですけど、少しでもホッとする瞬間や、誰かを心から思える時間になればと」

 そう言うと、高井アナは呼吸を吸い込み、声を大にした。「そのためにも相方と息を合わせて、毎日、爆発していきたいですね」

 ◆高井正智アナの「イチオシ!」 「岡本太郎美術館」言葉に感銘

 博物館、科学館、美術館巡りにハマっています。子供の好奇心で、いろいろと連れて行ってもらったんですけど、親の方がハマってしまって。「おはよう―」が始まってからも、10か所くらい行きましたかね。最近では、川崎市の岡本太郎美術館に行きました。語ると長いんですけど、言葉がすごい良いんですよね。美術品も飾ってあり、そこに岡本さんの言葉もあって。これがね、もう…。「瞬間瞬間に生きる」という言葉があって。「おはよう―」をしている我々にも通ずるものがあるなと。

過去や未来ではなく、今を爆発して生きると。「おはよう日本」も今を爆発して生きると。これを、どうしても伝えたかったです。(談)

 ◆高井 正智(たかい・まさとも)東京都出身。2002年に入局

 ▽所属局 盛岡局、広島局を経て09年から東京アナウンス室勤務

 ▽これまでの主な番組 「ニュースウオッチ9」「首都圏ネットワーク」「NHKニュース7」「NHKニュース」など

 ▽好きな食べ物 チョコレート

 ▽自慢 どんな時でも、どんな場所でも眠れること

 ◆中山果奈アナの「イチオシ!」 ラジオで入眠!好きが加速

 以前から、ラジオを聴くのが好きで。最初は、収録でご一緒するタレントさんの頭の回転があまりにも速くて。そのスピードに追いつけずに悩んでいた時、先輩から「ラジオを聴くとテンポ感を学べるよ」と。聴き始めると、内容にハマってしまった。午後6時に寝ようとすると、どうしても眠れない日もあって。その時にラジオとともに眠るようになり、ラジオ好きが加速していますね。唯一の楽しみと言っていいかもしれないですね。今までは、結構カチッとした番組を担当してきたんですけど、「おはよう―」は、それだけではダメ。

朝の時間帯、心を和らげようとご覧になる方も多いと思うので。(タレントの皆さんの)マネはできないですけど、そういう勉強にもなっているのかな?という感じです。(談)

 ◆中山 果奈(なかやま・かな)広島県出身。2014年入局

 ▽所属局 松江局、広島局を経て19年から東京アナウンス室勤務

 ▽これまでの主な番組 「NHKニュースおはよう日本」「ハートネットTV」「正午ニュース」

 ▽好きな食べ物 果物、ラーメン、お好み焼き

 ▽自慢 拍手の音が大きいこと

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