陸上男子100メートルで世界陸上2大会連続ファイナリストのサニブラウン・ハキーム(26)=東レ=が27日、宮崎県内で約1週間行っていた合宿を打ち上げた。東京世界陸上(9月)の代表選考会となる日本選手権(7月4~6日、東京・国立競技場)では決勝に進めば代表入りに大きく前進する。
気温31度。この日、梅雨明けした宮崎で汗を流したサニブラウンの顔つきは、晴れやかだった。「本当に充実した練習ができた。頭に体が追いついてきた感じ」。合宿最終日は入念なアップからスプリント練習をこなし、後半はジムで調整。今季は結果こそ出ていないが、大一番に向けてエンジンは温まってきている。
手応えを感じているのが中盤以降の走りだ。「頭で思い描く動きに体がついてくるようになって、やっとかみ合ってきた。悪くない動き」。以前に不得意としていたスタートは克服し、咋夏のパリ五輪では準決勝で自己ベスト、世界大会での日本人最速の9秒96を記録した。
世界陸上の参加標準記録(10秒00)は昨季に突破済みで、日本選手権で決勝進出すれば代表入りに大きく近づく。合宿では調整だけではなく、「チキン南蛮、宮崎牛、マンゴーも、ものすごいおいしかった」とリフレッシュも完了。「やるべきことをやるだけ。準決勝突破なんてことを考えていたら話にならない。一本一本、予選からしっかりテーマを決めて臨みたい」と世界を見据える日本のエース。「世界陸上に向けて、準備をするための大会」で、3年ぶり4度目の日本一をつかみ、勢いを加速させる。(手島 莉子)
◆日本選手権男子100メートル展望 今季日本人最高10秒06をマークした柳田大輝、サニブラウンが優勝候補。追うのが好調なベテラン勢で、5月の静岡国際を制した元日本記録保持者の29歳桐生祥秀、5月に10秒09をマークした30歳小池祐貴。4月に10秒12をマークして織田記念(広島)を制した早大の井上直紀(4年)、追い風参考記録ながら今季9秒97をマークしている大東大・守祐陽(4年)も脅かす存在だ。3連覇を目指す坂井隆一郎は4月の負傷からどこまで復調しているか。山縣亮太も7年ぶりの日本一を狙う。
◆東京世陸への道 昨年のパリ五輪で8位以内の選手は、今年1月以降に各種目で設定された参加標準記録を突破すれば内定。それ以外の選手は有効期間内に参加標準記録を突破した上で、日本選手権で3位以内に入れば内定する。