フランスの高級ブランド「エルメス」のバッグ「バーキン」の第1号が10日、パリで競売にかけられ、858万2500ユーロ(約14億7000万円)で落札された。日本企業の「バリュエンスジャパン」が落札を発表した。
フランスメディアによると、この黒革のバッグはフランスで活動し2023年7月に死去した国際的な女優・歌手のジェーン・バーキンさん(享年76)のために1980年代に作られた。バーキンさんのイニシャル「J・B」が刻まれているほか、バーキンさんが貼ったステッカーの跡も残っている。
バーキンさんが約10年所有した後、チャリティー目的で売却され、その後個人が所有していた。競売では、電話やオンライン、会場に集まったコレクターの間で10分間に及ぶ激しい競り合いが繰り広げられたという。
「バリュエンスジャパン」は2019年9月設立。ブランド買取の「なんぼや」や「BRAND CONCIER」などを運営しており、元Jリーガーの嵜本晋輔氏(43)が設立した「バリュエンスホールディングス」のグループ企業。
嵜本氏はスポーツ報知の電話取材に応じ「世界的に中古のラグジュアリーマーケットは拡大しており、特に一点もの、ストーリー性のある商品への注目度が高い。そんな中、25年ぶりにこのバーキンが出品され、ラストチャンスだと思いました」と経緯を明かした。
オークションにはオンラインで参加。前日に100万ユーロ分の予算を上積みしたが、落札額は上限いっぱいだったと言い「最後の1分は、相当緊張しました。あとワンビット(1度の入札)されたら負けでした」と胸をなで下ろした。
◆今後は「展示発表会みたいなものを実施」…嵜本晋輔氏に聞く
―予算通りだったのか。
「考えられへんぐらいドンピシャで。(前日に予算を)100万ユーロ増やしたんですけど、CFOに頼み込んで。もうしぶしぶ、オッケーを出してくれた」
―予算はどうやって算出したのか。
「例えば広告換算であったりだとか、このバーキンそのものが10年後、20年後、どれぐらいの価値になりえるのかみたいなことを、AIなども駆使して」
―今後の展開は。
「日本到着が2か月ぐらいかかると思うので、到着次第、展示発表会みたいなものを実施させていただき、その後は美術館であったり、ご興味を持っていただける施設の方と連携しながら展示の機会を作っていこうかなと」
―25年前はいくらで購入されたか知っているのか。
「それは非公開になっています」
―サッカーで培ったもので経営に生きている点は。
「チームプレーなので、いかに仲間を信じてやっていく、一人ではできない成果を出すかっていうことを考え続けてきた。ビジネスの世界でも同じことをやってるっていう感じです」
―オークションはパリで参加したのか。
「東京からオンラインです」
◆バーキン エルメスが展開するハンドバッグの一種。上質な素材、職人の手作業製造などが理由で量産できず、世界で最もステータスの高いバッグの一つとされている。1980年代初めに飛行機でジェーン・バーキンが当時のエルメス社長と偶然隣り合わせとなり、自分のニーズを満たすバッグがないと漏らしたことがきっかけ。値段は種類にもよるが日本国内の定価で150~300万程度。1000万円を超えるものもある。
◆G大阪3年所属→元Jリーガー初の上場企業社長…嵜本晋輔社長はこんな人
嵜本氏は2001年にG大阪でスタートしたプロサッカー選手としてのキャリアに、わずか3年で終止符を打ち、ビジネスの道へと進んだ。「サッカー選手としての実力は全然なかった。自身では前向きな撤退という言葉を使ってますけど、自分がチャレンジ続ける場所なのかを考えて離れたからこそ、今があると思っています」と明かす。
現在は元Jリーガーとして初の上場企業社長に。サッカー界との関わりも多く、Jリーグ入りを目指す南葛SCの胸スポンサーも務める。「サッカーはエースが一人いても、勝てない。チームとして戦う重要性を学んだ。