日本相撲協会は11日、名古屋場所(13日初日、IGアリーナ)の取組編成会議を開き、2日目までの取組を決めた。3場所連続優勝が懸かる新横綱・大の里(25)=二所ノ関=は、初日に新小結・欧勝馬(28)=鳴戸=、2日目に東前頭筆頭の安青錦(21)=安治川=と対戦。

ともに初顔合わせで、不気味な存在だ。この日は三つぞろいの化粧まわしも贈呈され、気持ちも高まってきた。スタートダッシュを成功させ、1場所15日制以降では、1983年秋場所の隆の里以来2人目の新横綱全勝Vを狙う。

 締め込みと同じ青を基調した自身初の三つぞろいの化粧まわしがお披露目されると、大の里の目が輝いた。横綱が締める中央には富士山、両脇には風神、雷神が描かれた。「本当にかっこいい。この化粧まわしをつけて土俵に立つのが楽しみ。綱を巻いて立つ姿は本当に似合うと思う。ワクワクしている」。愛知・安城市役所で、部屋を後援するアイ工務店から贈呈された三つぞろいを前に、興奮を抑えきれない様子。初日が13日に迫り、本場所で行う初の横綱土俵入りに向け「初めてのことばかり。頑張ります」と気を引き締めた。

 四股やてっぽうなど基礎運動で調整したこの日は、初日にモンゴル出身の欧勝馬、2日目にウクライナ出身の安青錦との対戦が決まった。両力士とも高校年代までレスリングを経験している実力者。「まだ時間があるのでしっかり頑張る」。独特な間合いを持つだけに警戒を強めた。

 日体大で2学年先輩だった欧勝馬には、大学時代の稽古場では苦戦した。十両では2戦2勝だったが、1年半以上対戦はなく、相手が新小結となった今場所が幕内では初対戦。突き押し、いなしが得意で、引き技もあるくせ者で、気は抜けない。安青錦は新入幕だった春場所から2場所連続で敢闘賞と伸び盛りの21歳。低い姿勢から頭をつけ、しぶとく攻める技術が光る。関係者によると「おそらく稽古でも相撲を取ったことはないはず」と未知の相手。懐に入られると、劣勢を強いられる可能性が高い。

 イベントが多くなり体調管理が難しく、また重圧とも闘う新横綱の優勝は、過去に5人しかいない。

17年春場所に新横綱Vを果たした二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)は「特に横綱だからというのはなく、変わらずやること。大関時代の延長で集中して、立ち合いからしっかり当たることが大事」と助言を送った。先場所は千秋楽で横綱・豊昇龍(26)=立浪=に敗れ全勝優勝を逃し、悔しさを口にした。名古屋で雪辱を果たし、新横綱場所を15戦全勝で飾れば、隆の里以来2人目。偉業達成のため、序盤から全身全霊で挑む。(山田 豊)

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