◆陸上 ダイヤモンドリーグ第10戦(11日、モナコ)

 男子3000メートル障害で、三浦龍司(23)=スバル=が、8分3秒43の日本新記録をマークして2位に入った。自身が2023年6月に出した従来の記録8分9秒91を6秒48も更新し、優勝した五輪2連覇中の王者、スフィアヌ・バカリ(モロッコ)に0秒25まで迫る快走だ。

すがすがしい表情で「今までで最高の手応えとうれしさのある大会になった」と振り返った。タイムは今季世界3位で、21年東京五輪(8分8秒90)、24年パリ五輪(8分6秒05)の金メダルを超える大記録だ。三浦も「想像していなかった」と誇らしげだった。

 得意のラストスパートに一層の磨きがかかっていた。序盤は集団の後方で様子をうかがい、徐々に順位を上げると、ラスト1周はギアチェンジ。一気に2位まで浮上し、約50メートル先を独走していたバカリを猛追。スパート合戦で惜しくも突き放されたが「ハイペースのレースで流れにうまく乗れた」と最後の直線では一瞬トップに立つなど、五輪王者を脅かす好走。「どれだけ上に行けるかチャレンジできた」と充実感をにじませた。

 5月上旬に右脚のコンディション不良があったが、その後はすぐに回復に努め、同月は「状態の確認」も兼ねて2試合消化。今大会前は十分にトレーニングを積み「練習の時の動きやスピードの出る具合が良かった」と自信を持って参戦した。

 決勝が9月15日の東京世界陸上では、同種目で日本初の「メダル獲得」を狙う。前回23年ブダペスト世界陸上はメダルまで1秒72の6位。

この日出した日本記録は、スコアリングテーブル(競技結果を点数化するための表。異なる種目の記録を比較するときに用いる)の100メートルで換算すると9秒89の速さ。一歩一歩、快挙へ近づいている。波に乗る第一人者は「(7分台は)目標にしている。いつかは確実に切っていきたい」と言い切った。

 東京世界陸上開幕まで13日であと2か月。19日のホクレン・ディスタンスチャレンジ戦網走大会(北海道・網走市営陸上競技場)では5000メートルに出場登録した。絶好調の今、2015年に大迫傑がマークした日本記録(13分8秒40)を10年ぶりに更新することも期待される。まだまだ足を磨いていく。

 ◆三浦 龍司(みうら・りゅうじ)2002年2月11日、島根・浜田市生まれ。23歳。陸上は小学1年から。

京都・洛南高卒。順大で箱根駅伝に4年連続出場。3000メートル障害は21年日本選手権で初優勝し、同年東京五輪は同種目で日本人初の7位入賞。22年オレゴン世界陸上は予選敗退も、23年ブダペスト大会は6位入賞、24年パリ五輪では8位入賞を果たした。自己ベストは3000メートル障害が日本記録の8分3秒43、5000メートルは13分26秒78。168センチ、56キロ。

 ◆三浦龍司のライバル スフィアヌ・バカリ(29)=モロッコ=が絶対王者。24年パリで五輪2連覇、世陸は23年ブダペストで2連覇と圧倒的な強さを誇る。7分52秒11で世界記録保持者はラメチャ・ギルマ(24)=エチオピア=。ともに190センチ超えの高身長を生かして、またぐように障害を越える。

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