今季の高校駅伝の注目校、鳥取城北が12日、神奈川・平塚市の東海大湘南キャンパス陸上競技場で行われた東海大長距離競技会の男子3000メートルに出場し、エースの本田桜二郎(3年)が8分5秒51で全体トップになった。昨年6月にマークした日本高校歴代10位の8分3秒60の自己ベスト記録には約2秒及ばなかったが、蒸し暑い気象コンディションの中、中盤から独走し、大学生に勝ちきった。

準エースの村上遵世(3年)も8分13秒74で全体5位と力走した。本田、村上ら鳥取城北の選手は“仮想インターハイ”として、13日の同競技会男子1500メートルに連戦で出場し、自己ベスト記録を目指す。

 本田、村上らは昨年の全国高校男子駅伝で福岡・大牟田の選手として準優勝に貢献したが、指導者の交代を決めた学校側の判断に反対して、今年4月に鳥取城北へ集団転校した。全国高校体育連盟の規定で転校後、6か月(水泳は1年)は同連盟の主催大会に出場できない。そのため、大牟田から転校した2、3年生は夏の全国高校総体(インターハイ)、その予選に当たる県大会や中国大会は不参加。赤池健監督は「インターハイでは4日間で1500メートルと5000メートルの予選、決勝を計4本走ります。今年、インターハイがない選手は、ここ(東海大長距離競技会)で3000メートルと1500メートルを2本、全力で走ります」と今回の競技会の狙いを説明した。

 “仮想インターハイ”として臨む2日連続のレース。「1500メートルで全員、自己ベスト記録を狙ってほしい」と赤池監督は期待を込めて話す。本田は日本高校歴代5位前後の3分43秒切り、村上は同10位前後の3分45秒切りがターゲットになるという。

 全国男鹿駅伝(6月28日、秋田・男鹿市)の高校男子の部(7区間42・195キロ)でも、全国高校体育連盟の規定に準じてオープン参加となったが、昨年の全国高校駅伝優勝の佐久長聖、同3位の宮城・仙台育英などに競り勝ち、2時間6分51秒でトップでゴールした。本田は「全国高校総体がないからと言って緊張感がなくならないように集中力を持って練習しています。

仲間がいるから頑張れます」と前向きに話す。

 秋からの駅伝には、転校した選手たちも正式に出場できる。インターハイがない夏、鳥取城北高のランナーたちは限られた環境で自身を追い込み、勝負の秋と冬に臨む。

 ◇大牟田から鳥取城北へ集団転校の経緯 関係者の話を総合すると、昨年11月の福岡県高校駅伝に優勝し、2年連続45回目の全国高校駅伝出場を決めた後、学校側は25年度から磯松大輔監督を招へいし、実質的な監督だった赤池健ヘッドコーチ(HC)をサポート役に降格する方針を決定。選手と保護者は反対し、撤回を求めたが、覆ることはなかった。その後、赤池氏は大牟田のHCを辞任し、鳥取城北の監督に転職することを決めた。各選手が保護者と話し合った結果、当時1、2年生(現2、3年生)19人のうち18人が赤池氏の指導を受けることを希望し、鳥取城北へ転校した。赤池氏の指導を希望して大牟田への入学を予定していた新入生の大半も鳥取城北へ進路を変更した。

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