◆車いすテニス ▽ウィンブルドン第13日(12日、英国・ウィンブルドン)

 2024年パリ・パラリンピック女子単複2冠で、世界ランキング1位の上地結衣(三井住友銀行)が、女子史上2人目のゴールデンスラム達成の快挙を逃した。過去8勝1敗と対戦成績で圧倒していた同4位の王紫榮(中国)に3-6、3-6のストレートで敗退。

4大大会でただ1つ残されたウィンブルドンのタイトルを奪えず、生涯4大大会全制覇とパラリンピック金メダルを合わせた5大メジャー全制覇の生涯ゴールデンスラム達成は持ち越しとなった。王紫榮は、4大大会シングルス史上初めて優勝した中国選手となった。

 必死で相手の攻撃を耐えていた上地だが、最後は力尽きた。2度目のマッチポイントで、上地のバックのリターンがネットすると、相手は力強く左手を突き上げた。上地のウィンブルドンへの9度目の挑戦も実らなかった。

 表彰式で、上地は「まだ結果を受け入れるのはちょっと難しい」と、今年最大の目標を達成できなかったことに、悔しさをのぞかせた。しかし、すぐに相手を讃えるのと同時に「まだ向上する余地があるということ。今度こそ来年はタイトルを取りたい」と前を向いた。

 パワフルで、攻撃を仕掛けてくる相手が、思った以上にミスが少なかったことは想定外だったろう。自身の課題のサーブでは、相手のリターンの餌食になった。上地の35本に対し、55本もの決定打を相手にたたき込まれた。凡ミスを相手の30本に対し19本に抑えたが、補えなかった。

 芝コートの特徴は、バウンドしてからの球足が速く、弾まない。一発があるパワー系の選手が有利で、車いすの操作も、芝にタイヤが食い込むのを動かすには力が必要だ。戦略でポイントを取る小柄で、上背もない上地にとって、最大の難関だ。来年以降、どのように対策を練るのか注目される。

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