今季の高校駅伝の注目校、鳥取城北が13日、神奈川・平塚市の東海大湘南キャンパス陸上競技場で行われた東海大長距離競技会の男子1500メートルに出場し、エースの本田桜二郎(3年)が3分43秒23でトップを取った。気温約30度の蒸し暑いコンディションの中、今季日本高校最高で日本高校歴代5位の好タイムで走破した。
本田、村上らは昨年の全国高校男子駅伝で福岡・大牟田の選手として準優勝に貢献したが、指導者の交代を決めた学校側の判断に反対して、今年4月に鳥取城北へ集団転校した。全国高校体育連盟の規定で転校後、6か月(水泳は1年)は同連盟の主催大会に出場できない。そのため、大牟田から転校した2、3年生は夏の全国高校総体(インターハイ)、その予選に当たる県大会や中国大会は不参加。本田は、昨年の全国高校総体1500メートルで日本人2年生としてはトップの5位入賞を果たしたが、今年は出場できない。
「緊張感がなくならないように集中力を持って練習しています。1500メートルと5000メートルで予選、決勝2本ずつあるインターハイのことを考えれば、きつくても、これくらい頑張らなければいけないと思って走りました」と本田は2日連続のレースを冷静に振り返った。さらに来週の16日はホクレンディスタンスチャレンジ北見大会(北海道・北見市東陵公園陸上競技場)で5000メートルに出場予定。インターハイをイメージしたハードスケジュールの中、自己ベスト記録(13分51秒20)の更新を目指す。
全国男鹿駅伝(6月28日、秋田・男鹿市)の高校男子の部(7区間42・195キロ)でも、全国高校体育連盟の規定に準じてオープン参加となったが、昨年の全国高校駅伝優勝の佐久長聖、同3位の宮城・仙台育英などに競り勝ち、2時間6分51秒でトップでゴールした。
元々、鳥取城北に在籍していた山根爽楽(3年)は、新たにチームメートとなった本田、村上らと練習することで力を伸ばし、インターハイ出場権を獲得。この日も3分52秒10の自己ベスト記録をマークした。赤池健監督は「山根はインターハイでは決勝進出を狙ってほしい。それだけの力がついています」と期待を込めて話した。
秋からの駅伝には、本田ら転校した選手たちも正式に出場できる。昨年の鳥取県高校駅伝は米子松蔭が優勝し、鳥取城北は2位だった。大牟田から転校した選手は順調に新天地で成長し、元々、在籍していた選手も力を伸ばしている。鳥取城北は、鳥取県、そして、全国の高校駅伝の勢力図を変える力を蓄えている。
◇大牟田から鳥取城北へ集団転校の経緯 関係者の話を総合すると、昨年11月の福岡県高校駅伝に優勝し、2年連続45回目の全国高校駅伝出場を決めた後、学校側は25年度から磯松大輔監督を招へいし、実質的な監督だった赤池健ヘッドコーチ(HC)をサポート役に降格する方針を決定。選手と保護者は反対し、撤回を求めたが、覆ることはなかった。その後、赤池氏は大牟田のHCを辞任し、鳥取城北の監督に転職することを決めた。