◆第61回七夕賞・G3(7月13日、福島競馬場・芝2000メートル、良)
サマー2000シリーズ第2戦の第61回七夕賞は13日、福島競馬場で行われ、ハンデ56キロで2番人気のコスモフリーゲンが逃げ切って重賞初挑戦初制覇を飾った。柴田大知騎手(48)=美浦・フリー=は4年7か月ぶりの重賞勝利。
「頑張れ、しのげ!」。柴田大は声に出してコスモフリーゲンを鼓舞し続けた。4角を先頭でパス。一度は後続を突き放したが、残り200メートルを切ってから1番人気のドゥラドーレスが猛然と迫ってきた。左ムチを入れながら懸命に馬にゲキを飛ばし、わずかに頭だけ先にゴール板に到達した。
内枠を引き、好スタートを切ったことで積極策を選択。「行きたがってなだめるのが大変でした」と振り返った通り、課題の折り合いに苦労して1000メートル通過が59秒4の速いペースの逃げとなったが、持ち味であるスピードの持続力を発揮して何とか押し切った。
コスモフリーゲンを重賞初挑戦Vに導いた鞍上は20年のターコイズS(スマイルカナ)以来、4年7か月ぶりの重賞タイトル。七夕賞は13年のマイネルラクリマ以来、12年ぶりの制覇だ。「うれしいですね。付きっきりでやらせてもらって、これ以上ないだろうという仕上げだったので、これで負けたら仕方ないと思っていました。
努力が実った。レースの週末と美浦トレセンが全休日以外の火曜から金曜まで、毎日騎乗してコミュニケーションを深めてきた。畠山調教師は「調教、競馬で手の内に入れながら、暑いなかでも毎週、一生懸命やってくれていたので良くなってきていた」と目を細めた。
今後は馬の状態が最優先としたうえで、トレーナーは「シリーズのポイントも獲得できましたし、馬が元気なら」とサマー2000シリーズ制覇を目指すことを示唆。マイネルホウオウでG1(13年NHKマイルC)を制した騎手&調教師のコンビで、今年の夏を盛り上げる。(西山 智昭)
コスモフリーゲン 父スクリーンヒーロー、母フライングメリッサ(父ダンスインザダーク)。美浦・畠山吉宏厩舎所属の牡5歳。北海道新冠町・ビッグレッドファームの生産。通算9戦5勝。総獲得賞金は1億1318万5000円。重賞初勝利。
◆柴田 大知(しばた・だいち)1977年6月18日、栃木県生まれ。48歳。96年3月に双子の弟・未崎(現在は栗東・大橋厩舎で調教助手)とともにデビュー。JRA通算549勝(うち障害12勝)で、G1勝利は13年のNHKマイルC(マイネルホウオウ)、中山グランドジャンプ・JG1を11年(マイネルネオス)、12年(マジェスティバイオ)で連覇。G1・3勝を含む重賞16勝。158センチ、49キロ。