◆大相撲名古屋場所 初日(13日・IGアリーナ)
新横綱・大の里(25)=二所ノ関=が白星発進を決めた。新小結・欧勝馬(28)=鳴戸=を力強く寄り切った。
見せたことのないような表情が浮かんだ。大の里は日体大の2学年先輩の欧勝馬を全く寄せ付けず、横綱としての初陣を白星で飾った。「先場所とやることが違ったし、いろいろなタイミングを見つけるのは大変だった。その中で初日に勝てたことは大きい」と安堵(あんど)し、いつもの1勝とは違うのか、という問いに「そうですね」と言った。
珍しく最初の立ち合いでつっかけた。「自分としてもビックリしている」。2度目の立ち合いをもろ手でぶつかり、得意の右を差せないと判断すると、左でおっつけ右上手を取って一気に寄りきった。何事にも「いつも通り」と口にし、初の綱取りだった夏場所も「深く考えない」と最高位に駆け上がった強心臓。
初の横綱土俵入り前は顔をこわばらせ、支度部屋から手の動きやせり上がりなどを練習。太刀持ちの高安に動きを確認するような場面もあった。同じ雲竜型の豊昇龍が1分38秒かけたのに対し、大の里は1分20秒。過去の先輩横綱と比べても短めだった。花道を引き揚げると、びっしょりの汗で体が光った。白鵬ら先輩横綱が「一日で2番取るくらい大変」といわれる土俵入り。ただ、相撲が始まると圧倒的だった。
八角理事長(元横綱・北勝海)は「緊張しても力が出せるタイプ。腰から前に出ていた」と評価し、新会場で「いろいろなドラマが始まる」と期待した。師匠の稀勢の里、その師匠の隆の里に続き、横綱として白星で一歩を踏み出した。両者は、新横綱場所で優勝を果たしている。