◆大相撲名古屋場所 初日(13日・IGアリーナ)

 新横綱・大の里(25)=二所ノ関=が白星発進を決めた。新小結・欧勝馬(28)=鳴戸=を力強く寄り切った。

本場所では東京・両国国技館の1985年初場所以来、40年ぶりとなる新会場での開催。取組前の横綱土俵入りなど、初めて尽くしの中で緊張の一番を制し、3場所連続Vへ弾みを付けた。豊昇龍(26)も小結・高安(35)=田子ノ浦=を外掛けで退け、東西の横綱がそろって勝利。新入幕の草野(24)=伊勢ケ浜=も初白星を挙げた。

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 緊張なんて感じられなかった。大の里の馬力には驚かされる。強いという言葉しか浮かばない。胸を張って腰高の立ち合いは相変わらずだが、悪癖を遥かに超える馬力がある。欧勝馬の左前まわし狙いも簡単に粉砕。192センチ、191キロの大きな体から生み出される力がどれほどのものなのか。想像しただけでも鳥肌が立ってしまう。

 大関に昇進した時は、私がよく口にする“毒まんじゅう”が出ていた。

相手を押し込めないと判断すると引いてしまう悪癖だが、先場所あたりから押し込んでから引くようになった。これは馬力がさらに付いた証しでもある。横綱になっても進化を続ける。どれだけ強くなるのか楽しみだ。

 豊昇龍も苦手な高安を切れ味鋭い外掛けで土俵にたたきつけた。会心の相撲といっていいだろう。「負けたくない」という気持ちが相撲に出ている。“大の里効果”だろう。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)

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