競走馬の国内最大のセリ、セレクトセール2025の1歳セッションが14日、北海道苫小牧市のノーザンホースパークで行われた。227頭が上場され、同セール5年目の藤田晋オーナー(52)は、フォーエバーヤングの半弟を、レイデオロ産駒のセール史上最高額となる3億円で落札。

サウジCなどG1級4勝の兄と同じ矢作厩舎に預託予定だ。

 静かに始まった戦いは、徐々に熱を帯びていった。今年のサウジC覇者フォーエバーヤングの半弟「フォエヴァーダーリングの2024」。リザーブ価格7000万円からじわりじわりと値段が上がり、2億円を超えたところからビッドの応酬がペースアップ。最後は3億円でハンマーが下りた。

 落札者は半兄も所有する藤田晋オーナー。「ほっとしたという感じです」と胸をなでおろした。「もっといっても買うつもりでした」と、狙い澄ましていた一頭。矢作先生と瑠星くんと(セリ会場に)行っていたので、圧力でみんな降りてくれないかなと思ったんですけど(笑)」。冗談も交え、余裕の表情を見せた。

 “兄の七光り”ではない。預託予定の矢作調教師は「いい馬なのでオーナーに強く推薦していました。

フォーエバーヤングの下だからって、馬が良くないと推薦しないので」ときっぱり。「むしろヤングより柔らかみがある」と評価した。レイデオロ産駒では、4世代目の同馬が史上最高の落札額となった。産駒は、サンライズアースが阪神大賞典で重賞を初制覇したのを端緒に、今年はここまで重賞4勝と好調。矢作師は「走ってきていますから、何も心配ないです」と胸を張った。

 その“柔らかみ”ゆえに、指揮官は「ダートに限らず芝でも、という気持ちです」と先入観にとらわれない構えだ。一方、藤田オーナーは「個人的にはダートで走ってほしいです(笑)。海外に連れていってほしいので」と願い、兄が1着賞金約15億円を獲得したサウジCを引き合いに、「それが一番稼げるので」と本音もこぼした。

 藤田オーナーはセレクトセールへの参戦5年目。この日は7頭、計11億8000万円を競り落とし、落札総額100億円まで2300万円に迫っている。「当歳も楽しみなので、脚をためたかったんですけど(笑)。狙った馬はちゃんと買えたけど、値段は思ったよりいっちゃいましたね」と想定外の白熱ぶり。

矢作師が「あとは脚、ためといてください」とたしなめる場面もあった。今日15日の当歳部門には、イクイノックスの初年度産駒が登場。名物馬主が、大盤振る舞いでまだまだセリを盛り上げる。(水納 愛美)

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