◆大相撲名古屋場所 2日目(14日・IGアリーナ)

 西前頭筆頭・若元春が横綱・豊昇龍を寄り切りで破り、新会場・IGアリーナの金星第1号を挙げた。若元春の金星は24年初場所の照ノ富士戦以来で2個目。

場所前にはNHK大河ドラマにも出演した31歳が、悲願の初賜杯へ弾みを付けた。新横綱・大の里は東前頭筆頭・安青錦を圧倒して押し出し、2連勝とした。

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 若元春の力強さと技術の高さが光った。豊昇龍の張り差しの立ち合いを左に動いてかわし、得意の左差し。右上手は取れなかったものの、左が締め込みの結び目近くをつかんで豊昇龍の右をバンザイさせた。そして、苦し紛れの巻き替えに来た所を引き付けて出た。

 豊昇龍が巻き替えようとした時、お互いの胸の間に空間が出来た。それを若元春は見逃さなかった。顎の下に頭を付けて出た。この小さな動きが足腰のいい豊昇龍の粘りを殺した。初日に霧島に完敗したものの、自分の形(左四つ)になった時の強さは、さすが実力者と言える。実弟の若隆景の復活も刺激になっているのは間違いない。

 豊昇龍は序盤の取りこぼしが目立つ。原因は安易な張り差しである。小手先だけで相手の懐に入ろうとして墓穴を掘っている。鋭い突っ込みもあるのだから、それを生かしてほしい。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)

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