◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
高いコミュニケーション力に、学ぶことばかりだ。今やマラソンには増田明美さん(61)の「細かすぎる解説」が欠かせない。
5月18日のセイコー・ゴールデングランプリ。女子3000メートルの山本有真(25)=積水化学=のレース後、増田さんはいつものように記者に交じって選手を囲んだ。最後に「有真さん、シューズがすごくおしゃれですね」と声をかけた。足元を見ると、ナイキのマークがラインストーンでキラキラ。山本は一瞬でリラックスした表情になった。「海外選手のインスタの投稿を見てかわいいと思って、自分でつけました!」。明るい声とともに取材エリアの雰囲気も和やかに。増田さんの声かけは魔法のようだ。
「何で増田さんはいつも、選手の懐に入れる取材ができるのですか?」と聞くと、「感動と尊敬です」と明るく答えてくれた。「私はミーハーだから他のことも気になって、盛り上がってしまいます」と笑顔。
昨年のパリ五輪。いつも記者室で「今日はおいしいものを食べられた?」とあいさつ代わりに、ほほ笑んでくれた。励みになった。これはトリコになってしまう、とも感じた。広い視野と高い“コミュ力”。これからも増田さんを見習いたい。(陸上担当・手島莉子)
◆手島 莉子(てじま・りこ)2021年入社。五輪と箱根駅伝担当。23年世界陸上や24年パリ五輪を取材。