現役時代に世界ナンバーワンの評価を受け、今年6月には顕彰馬に選定されたイクイノックス。その産駒初登場に、セレクトセールが沸いた。

 米国G1・5勝、古馬牝馬チャンピオンに輝いた母を持つ黒鹿毛の「ミッドナイトビズーの2025」は、姿を見せる前から会場は異様な熱気に包まれていた。多くのギャラリーが押し寄せるなか、あっという間に上がっていく価格。激しい応酬の末にネブラスカレーシングが歴代3位タイとなる5億8000万円で競り落とすと、場内からは大きな拍手が起きた。次世代にかかる期待の大きさが浮き彫りになり、種牡馬としても圧倒的な存在感を見せつけた瞬間だった。

 現役時代に父を管理した木村調教師は「多くのオーナーに評価していただいて、欲しいと手を挙げていただいていることに純粋に感動していますし、身が引き締まる思いです。(イクイノックスが現役だった)当時の自分は120%を出したつもりですが、それが報われた気持ちです」と感激した様子で取材に応じた。

 「ゴーイングトゥベガスの2025」(牡)は小笹芳央氏が4億5000万円で、母がアルゼンチンでG1を制した「グローバルビューティの2025」(牡)はYFホースクラブが3億1000万円で落札するなど、高額落札が続々。最終的には24頭のうち23頭が落札され、11頭が1億円超えを記録する盛況ぶりだった。平均価格は、初年度産駒としては23年当歳セールでコントレイル産駒が記録した1億2860万円(20頭)を大きく上回る1億5500万円だった。

 G1・6連勝で現役を引退した父のDNAが、産駒の容姿からも強く受け継がれていることが伝わってくる。木村調教師は「見ていてもイクイノックスとうり二つの産駒が多いですね。ラインがきれいで皮膚感が良い。

歩様も素晴らしいです」と高評価の理由を分析する。

 初日の主役は10頭が億超えとなったイクイノックスの父キタサンブラックだったが、2日目は息子が中心に。競馬界は、この親子が引っ張っていく構図がはっきりと示された2日間となった。(浅子 祐貴)

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