◆プロボクシング▽WBC、WBA世界フライ級(50・8キロ以下)王座統一戦12回戦 寺地拳四朗―リカルド・サンドバル(7月30日・横浜BUNTAI)

 WBC&WBA世界フライ級統一王者・寺地拳四朗(33)=BMB=が16日、練習拠点にしている東京・練馬区の三迫ジムで、WBC2位、WBA3位リカルド・サンドバル(26)=米国=との防衛戦に向けた練習を公開した。

 勝てばWBC王座は2度目、WBA王座は初防衛となる寺地はこの日、シャドーボクシングの後、三迫ジムの加藤健太チーフトレーナーが持つスティックをかわしながら距離を確認。

その後、サンドバッグ打ちと軽めのメニューだったが、「体重も順調に落ちていて、コンディションもすごくいい」と仕上がり具合に手応え。試合まであと2週間を「追い込んでしっかり仕上げたい」と意欲を見せた。

 寺地は今年3月、前WBA王者のユーリ阿久井政悟(倉敷守安)に12回TKO勝ち。世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)に続いて日本人では史上2人目となる複数階級での王座統一を果たした。5月には米ロサンゼルスで合宿を実施し、これまで数多くの世界王者を育て、現在はWBC&IBF世界バンタム級統一王者の中谷潤人(27)=M・T=を指導するルディ・エルナンデス・トレーナーのもとを訪れ、ディフェンス面を強化した。

 「ルディ・トレーナーには色々な練習の仕方を教わった。今までできなかった動きを頭に入れられるようになった」と加藤トレーナー。この日のシャドーでは、頭の位置を固定させず、頭を動かすことで、体の動きがより滑らかになった印象。寺地は「これまでは頭の位置はあんま変わらず、足だけを動かすような感じだったが、頭を小刻みに動かすことで、標的をしぼらせへんようになったのは大きい」と話し、ロス合宿の成果が大きいことを強調した。

 とりわけ右手の使い方が大きく変わった。これまでは、グラブでパンチをさばくパーリングをした後、一度耳のあたりに腕を戻していたが、肘を「く」の字に曲げてグラブをあごの位置に戻すようになった。そうすることで、強打でもディフェンスでも柔軟に対応できるようになった。

最初は意識して戻していたが、今では自然と「右手が(顔の前に)残るようになった」という。左はL字ガードの形になり、相手の右パンチにも対応は万全となる。

 スパーリングはすでに150ラウンド以上を消化。前へ出て攻めてくるサンドバルだが、「たまにスイッチするので、それを踏まえてサウスポーの選手とも実戦練習をしている」(加藤トレーナー)という。寺地は「相手に攻められすぎないよう距離を取りたい。なるべく相手に触らせず、手数でも上回りたい。今回はなるべく安心のできる試合にしたい。ヒヤヒヤせずに勝ちたい」と話した。

 「2014年にプロデビューして、ライトフライ級で長く(WBC王座を)防衛して、フライ級に上げた。スーパーフライ級も視野に入れていて、そろそろ集大成が近づいてきたなというイメージではあります。そのためには今回の試合で快勝してくれたら(階級を)上げやすい。あくまでもタイミング、流れですが」と父の寺地永(ひさし)BMBジム会長。

寺地も「僕もそれはタイミングだと思う。とりあえず、今回の試合をしっかり勝つこと」と気を引き締めた。サウジアラビアからも注目されていることが報道されており、寺地は「名前が挙がるのはうれしい。(試合に)呼んでもらえるならうれしい」と話した。

 そのためにも目の前の試合に勝つこと。「しっかりKOで勝って、次につなげられる試合にできたら」と夢を広げた。

 戦績は、寺地が25勝(16KO)1敗、サンドバルが26勝(18KO)2敗。

編集部おすすめ