◆大相撲名古屋場所4日目(16日・IGアリーナ)
両横綱が敗れて金星配給の波乱が起きた。横綱・豊昇龍は、西前頭2枚目・阿炎に押し出され、3連敗で休場危機に立たされた。
豊昇龍が4日目で窮地に立たされた。立ち合いで阿炎の強烈なもろ手突きにのけぞり、右に逃げたが、瞬く間に追い詰められた。相手の右腕を取りながら、左足の指を俵にかけて、残ろうと執念を見せたが押し出された。阿炎の左足が先に土俵外に出たように見え、一度は豊昇龍に軍配が上がったが物言い。約2分間の協議の末、左かかとが先に土俵を割っており行司軍配差し違え。判定は際どかったが、内容は完敗だった。
館内のどよめきの中で力なく土俵を下りた。支度部屋に戻って来ると、右手を左右に振って取材を拒否。腕組みをしてテレビ画面を見ながら「うーん」と悩ましげな表情を浮かべた。
横綱昇進3場所目。初日は苦手の高安を下して好発進も、2日目に合口のいい若元春に敗れ、3日目は初顔の安青錦に屈した。宿舎に帰ると、師匠の立浪親方(元小結・旭豊)から「上半身で取り過ぎている。相撲が悪い。前に出なきゃダメ」とハッパをかけられたが、悪い流れは止められず。昇進後3場所連続で当たった阿炎に5連敗となった。
昇進3場所で8個目の金星配給となった。3日連続は昨年春場所の照ノ富士以来で昭和以降20度目。令和では3人目の屈辱だ。4日目までに3敗も昇進後ワーストと光は見えない。
場所前は発熱で体調を崩し、2日間稽古を休んだ。出稽古で痛めた左足親指は場所中も治療に出るなど万全ではない。
4日連続金星配給となれば1931年初場所の宮城山以来、94年ぶりの不名誉記録。番付の東西に最高位が並んだ新会場場所で、東の横綱が試練を迎えた。(林 直史)
◆横綱の3日連続金星配給 昭和以降で千代の山、稀勢の里の3度、宮城山の2度を含めて過去19度。令和に入ってからは2019年秋場所の鶴竜(朝乃山、大栄翔、友風)と24年春場所の照ノ富士(明生、王鵬、隆の勝)。