全国高校総体は、23日の少林寺拳法から広島県などで開幕する。大会を間近に控え、注目校や注目選手を紹介する。

札幌工ボクシング部は男女6階級の代表が出場。3月の全国選抜大会女子ピン級優勝の亀森茉莉(2年)は増量作戦で、2階級制覇を目指す。男子の南龍聖(3年)も階級転向し、初の高校タイトル獲得を狙う。

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 新たなチャレンジに打って出る。亀森は「ライトフライ級では挑戦者。スピードを生かした接近戦で勝ち上がりたい」と、2冠目への意欲を明かした。

 3月の全国選抜大会でピン級(46キロ以下)を制し、高校初タイトルを獲得。全国総体では女子最軽量がライトフライ級(46~48キロ)になるため、1階級上げて挑むが、「増量がきつい。今年は筋肉を増やす体づくりを意識している」と話す。

 普段の体重は43キロのため、「水を大量に飲んで計量をパスしてきたけど、体が重くて試合で手が出なくなった」。春の選抜大会以降、朝練習での走り込みで足腰強化を図りつつ、食事量を増やすことも心がけた。

 朝練習の後におにぎりを1個食べ、午前中の授業の休み時間ごとにおにぎりを頬張る。

昼食を取り、練習後は部室で炊いた白米をお茶漬けにしてかき込む。下宿に戻り、夕ごはんを食べ、さらに「空腹の時間がないようにしている」と、就寝までに親が差し入れてくれたパンを口にする日もある。

 ボクシングといえば減量がつきもの。「食べてばかりで周りの選手からうらやましがられる」。勝つための増量にも苦しさがある。

 女子部員は2人のみで、男子とのスパーリングは日常だ。接近戦とカウンターが持ち味だが、「以前は怖くて前に出られなかった。でも負けず嫌いなので…」と日々、自分を奮い立たせてきた。

 全国総体初出場の昨年は初戦敗退だった。亀森は「自分がかっこいいと思えるぐらい誰よりも努力したい」と憧れのタイトルへ突き進む。(飯塚 康博)

 

 ◆亀森 茉莉(かめもり・まつり)2009年3月16日、栗山町生まれ。16歳。

小学3年から岩見沢ボクシングクラブに通い始める。中学1年で全日本アンダージュニア(UJ)フレッシュ大会女子39キロ級で優勝。札幌工入学後は、昨年12月の全日本女子ジュニア選手権で女子Jr.ピン級準V、今年3月の全国高校選抜大会で女子ピン級優勝。身長150センチの右ファイター。好きなボクサーは井上尚弥。

  〇…女子バンタム級(51キロ超~54キロ)の東紫香(しきか、2年)が必勝宣言した。高校入学と同時にボクシングを始め、1年足らずにもかかわらず3月の全国選抜大会で準優勝した。決勝で戦った渡辺ひまり(大阪・浪速)がアジア大会出場のため総体不参加。「今回は絶対に取らなきゃいけない」と自らノルマを課した。元々は空手少女。161センチの長身サウスポーは「強打でポイントを取っていきたい」と意気込んだ。

 3年連続の全国総体へ南は「負けたら終わりの緊張感はある。

それでも金メダルを取れる自信がある」と目をギラつかせた。

 3位に入賞した3月の全国選抜大会はライトウエルター級(60キロ超~64キロ)で臨んだが、今年の全国総体は1階級上のウエルター級(64キロ超~69キロ)で出場する。減量の負担減で足さばきが軽くなるため、「リングを大きく使い、常に動き続けて戦う」と技巧派にチェンジして挑む。

 小中学生時代に全国5冠を獲得し、鳴り物入りで札幌工に入学したが、高校で最も頂点に近づいたのは昨春の全国選抜大会の準Vだった。全国総体も1、2年時は16強。腕っ節に自信があるため、接近戦を好んだが、結果が実らず、模索を繰り返してきた。そして見いだした新たなファイトスタイル。主将も務める南は「必ず結果を残してくる。そして全員がメダルを持ち帰れたらいい」と集大成の夏にする。

 ◆南 龍聖(みなみ・りゅうせい)2007年8月9日、札幌市生まれ。17歳。兄の影響で小学1年から札幌清拳ジムでボクシングを始める。

小学6年、中学2、3年時に全日本アンダージュニア(UJ)王座決定戦で優勝するなど全国5冠を経験。札幌工に進学し、昨年3月の全国高校選抜大会で準V。身長174センチの右ボクサーファイター。好きな選手は堤駿斗。

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