◆大相撲 名古屋場所6日目(18日、IGアリーナ)

 小結・高安が東前頭筆頭・安青錦を上手投げで退け、5連勝で1敗を守った。悲願の初Vを狙う35歳が、史上最速金星を挙げるなど勢いに乗っていた新鋭の壁になった。

西前頭16枚目・御嶽海は西同13枚目・正代を寄り切り、ただ一人の全勝をキープ。1敗で高安、新横綱・大の里、関脇・霧島、平幕・玉鷲ら7人が追う展開となった。

 元大関・高安が新鋭の勢いを止めた。突っ張って前に出たが、安青錦に潜り込まれ、左足を狙って「内無双」を仕掛けられた。今場所で大関・琴桜、関脇・霧島を沈んだ技だ。だが、内ももを手で払って体を反対側にひねる相手の動きは想定していた。「しっかり反応できた」。耐えてすぐに体を起こし、肩越しに右上手を引いて豪快に投げた。歓声を背に「慌てないこと。それだけを考えていた」と胸を張った。

 14歳下の安青錦は、今場所で豊昇龍から金星を挙げるなど1横綱、1大関、2関脇撃破。「体格は大きくないけど、腕の力が相当強い。

びっくりした」。驚きもあったが、これまで伸び盛りの若手と何度も対戦してきた。「若手というのは勢い任せに当たって砕けろの気持ちで来る。落ち着いていくのが一番。相手はかく乱したいですから」。経験値を生かし、初顔との1敗対決を制した。

 今場所は新横綱・大の里の太刀持ちを務める。年上の大関経験者としては異例だが、大の里の師匠で兄弟子だった二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)に依頼され、快諾。横綱土俵入りに付き従い、取組前の動きや準備の流れも変わる難しい状況にも「身が引き締まる。いい経験をさせてもらっていますね」と冷静に対応している。

 5連勝で単独トップの御嶽海を1差で追走する。「序盤は動きが良くなかったけど、勝ってからどんどん良くなってきた」と手応えはある。

春場所で大の里に決定戦で敗れるなど優勝同点・次点を計9度経験した高安。新会場で、今度こそ初の賜杯を抱く。(林 直史)

 ◆高安の優勝争い これまで幕内で優勝同点・次点を計9度経験。直近では3月の春場所。13日目を終えて単独トップに立ったが、14日目に黒星。千秋楽の本割で勝ち、当時大関だった大の里との優勝決定戦に進んだが、送り出しで敗れて、初賜杯を逃した。

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