日本テレビの河出奈都美アナウンサー(28)が、同局系バラエティー「千鳥かまいたちゴールデンアワー」(水曜・後8時)で、キャリア初のゴールデン・プライム帯(午後7~11時)の進行を務めるなど、担当ジャンルを広げている。伝えることの使命感と“スーパーポジティブ”な性格を武器に「視聴者の心を動かす気概を持ったアナウンサーでありたい」と誓う。

仕事も趣味も全力投球な素顔に迫った。(奥津 友希乃)

 河出アナと記者は2019年に入社した、グループ会社の“同期”だ。入社直後は、ともにグループ各社の新入社員が集う研修に参加した。社会人生活への期待と不安で胸がいっぱいだった当時を、河出アナは「あれから6年か…。あっという間ですよね」と振り返り、「交換するのは2枚目かもしれませんね」と笑顔で名刺を差し出した。

 「同期」というにはおこがましいほど、活躍は目覚ましい。情報番組「Oha!4 NEWS LIVE」(月~金曜・前4時半)の木、金曜メインキャスターを務めるだけでなく、今春からGP帯に昇格した「千鳥かまいたち―」では進行を務めている。

 入社7年目を迎え「小学校6年間と同じ時間を日本テレビで過ごしてきた。初等教育を終え、中学校に入学し刺激を受けているような感覚です。自分に足りない部分を自覚しながらも、6年間積んできたことを大切に、新しいことに貪欲に挑戦したい」と言い切る表情はすがすがしく、頼もしい。

 幼い頃からテレビっ子で「情報番組を見るため、早起きして流行や最新情報を仕入れていた」。中学3年生で出場したスピーチコンテストで小惑星探査機・はやぶさの軌跡を熱弁。

特別賞に輝き「(審査員に)『伝え方に熱がこもっていて感動したよ』と言われ、とてもうれしくてやりがいを感じた」ことをきっかけに、伝えることを生業(なりわい)とするアナウンス職を志した。

 入社後は「news zero」(月~木曜・後11時、金曜・後11時半)、「news every.」(月~金曜・後3時50分)などを担当し、報道畑でアナウンスのいろはを学んだ。

 現場で奔走する記者やディレクターから熱のこもったバトンをアンカーとして受け取る度に、伝えることへの使命感が芽生えた。

 「原稿にあるたった一言のために、記者さんは長い時間をかけて取材をしている。これを私が読み飛ばしてしまったら取材が報われない。たくさんの思いをつなぎ伝える立場にあるアナウンサーは出役だけれど、黒子として誰かを輝かせるためにいる時もあると心に刻みました」

 21~24年に出演した「news every.」で、当時メインキャスターを務めていた藤井貴彦アナ(53)は「言葉や声、表情、立ち居振る舞い、どれをとっても一級品」と尊敬の的だ。藤井アナから授かった教えが指針にもなっている。「ある時、貴彦さんから『その原稿を自分がメインMCだと思って読んだらどうなる? その読み方になるかな』と言われ、ハッとしました。淡々と読むとは違う、伝えるための発声や間の取り方がある。以来、どの番組でもメインのつもりで、見ている人の心を動かす気概を持ったアナウンサーでありたいと思っています」

 どんな現場でも全力投球。「何事にも細部までこだわりたいし、楽しみたい。スーパーポジティブなところが長所ですから」とパワフルさが魅力だ。

現在は、メインキャスターとして「Oha!4―」に出演。深夜2時に出社し「スタジオに入る前から率先して笑顔であいさつすることを心がけています。メインとして空気づくりも大事なので」と、真夜中の静まりかえった報道フロアに、はつらつとした声を響かせている。

 キャリア初のGP帯で進行を務める「千鳥かまいたち―」では、令和のお笑い界を代表する千鳥、かまいたちと対峙(たいじ)し「4人の神業を間近で見られる。収録はほっぺが痛くなるほど笑っています」。

 慣れないバラエティーの進行で新境地に挑み「情報・報道番組とは使う脳が全然違う。高校まで吹奏楽をやっていたので楽譜通り演奏するのは得意だけど、バラエティーは即興や瞬発力が求められる。ジャズに挑戦しているようで、試行錯誤の日々ですが楽しみたい」。

 持ち前のたゆまぬ向上心で、自身の五線譜に新たなコードを刻んでいく。

 ◆河出 奈都美(かわで・なつみ)

 ▼生まれと経歴 1996年8月、東京都出身。28歳。青山学院大国際政治経済学部卒。

2019年入社。

 ▼担当番組 「Oha!4 NEWS LIVE」「シューイチ」「千鳥かまいたちゴールデンアワー」

 ▼特技 日本舞踊、フルート演奏、ものまね「湯婆婆、カルシファー、トトロのメイなどジブリキャラクターは10近く、ものまねできます」

 ▼趣味 海釣り、アニメ鑑賞、コスプレ

 ▼チャームポイント 笑顔

◆河出アナの「イチオシ」…「Paradox Live」が“アツい”

何を隠そう“推し活”から日々の活力を得ておりまして、とにかく多趣味です。

 はまっていることもアニメや音楽鑑賞、コスプレと多岐にわたるのですが…。コスプレは最近始めてみたら奥が深く、独特の文化があり面白い。この前は(同局系)アニメ「葬送のフリーレン」のキャラクター・フェルンのコスプレをしました。ついに先日、マネキンヘッドを買っちゃいまして。休みの日にウィッグをかぶせ、コスプレをするキャラの髪形に合わせてチョキチョキと切っています。

 個人的に一番“アツい”のは「Paradox Live(パラドックスライブ)」です。音楽とボイスドラマで構成されているメディアミックスプロジェクトで、征木北斎というキャラが大好き。優しい低音ボイスだけど、裏社会の顔を持っているというギャップのあるキャラです。ビジュアルや声質、ミステリアスな雰囲気に沼り(=夢中になる、はまるの意味)ました。周りからは「趣味のことを話している時が一番生き生きしてるね」ってよく笑われます。

(談)

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