◆明治安田J1リーグ▽第21節 浦和4―1湘南(23日・埼スタ)

 178センチの細身の体が、密集地帯から頭一つ抜け出した。1点リードの前半アディショナルタイムに迎えた浦和のCK。

DF荻原拓也の鋭いキックに、FW小森飛絢はニアサイドで垂直に飛び上がると、強いヘディングを放った。6月に加入した浦和での先発2試合目。前節のFC東京戦はシュート0に終わり、これが初シュートだった。ゴール右隅に吸い込まれたボールを確認すると、荻原らと肩を抱き合って喜んだ。

 「すごくいいボールがきたので、自分は流し込むだけでした」。そう振り返ったが、スペースのないゴール前でチャンスを決めきった決定力は、昨季J2で23ゴールを挙げて得点王に輝いた小森の真骨頂だ。しかし公式戦のゴールは千葉時代の昨年10月26日藤枝戦以来、約9か月ぶり。千葉から今年1月に期限付き移籍したベルギー1部シントトロイデンでは、半年間で4試合0得点と結果を残せなかった。

 「もっと試合に出たい、という半年間だった」とベルギーの日々を振り返る小森。初の海外移籍で感じた課題は「もっと自分の良さをチームに知ってもらうことは大事」ということだった。この日は試合前、左足クロスが特徴の荻原と積極的にコミュニケーションをはかり「待ってるぞ、と(伝えた)。信用してました」と自らの思いを伝え、それが形となった。

 意外にもCKからの得点はプロ入り後は初めて。「自分の特徴は、ボックス内でシュートを打って得点すること。今日はシュートを打つ、という強い気持ちで試合に入りました。もっともっと打ちたいし、起点を作る役割も果たしたい。FWなんで1点取っちゃえば乗ると思うので、その1点が早く欲しいという思いでやっていました。とりあえず、ほっとしています」。本音も漏らした24歳が、まずはJ1の舞台でその第一歩を踏み出した。

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