◇女子プロゴルフツアー 大東建託・いい部屋ネットレディス 第3日(26日、福岡・ザ・クイーンズヒルGC=6503ヤード、パー72)

 ツアー3勝で2児の母、一ノ瀬優希(36)=フリー=が1イーグル、3バーディー、ボギーなしの67をマークし通算11アンダーの首位に浮上した。男子ツアー2勝の夫・谷口拓也(45)がキャディーとしてサポート。

2014年サイバーエージェントレディス以来11年84日ぶりとなるツアー歴代2番目のブランク優勝と、21年GMO&サマンサ・カップの若林舞衣子以来史上7人目のママさん優勝に王手をかけた。

 一ノ瀬の気合を乗せて、球はピンへ向かった。6番パー5。残り211ヤードから7ウッドで放った第2打は、カップをかすめた。アルバトロス寸前の一打で奥2メートルに運び、イーグルで加速した。「調子がスコアに出ている。旦那のアドバイスのおかげで落ち着いてゴルフができている」。17年日本女子プロ選手権初日以来8年ぶりの首位に立った。

 前のめりになる一ノ瀬を制御してくれたのは、谷口だった。「前の組もいるし後ろも来ていないんだから、もう少しゆっくりやったら?」。ラフからの番手選びも的確。グリーン上では自信満々でラインを読んでくれる。

「私も読めるのに」と内心思いながらも、夫の意見を尊重。15年のフジサンケイレディス以来10年ぶりの最終日最終組に入った。

 結婚翌年の20年に長女、昨年5月に長男を出産した。子育ての日常が、肉体改造を生んだ。「常に抱っこだから。プラス荷物も背負って。トレーニングよりきつい。それが毎日だから」。自然と上半身が鍛えられ、飛距離は20代の頃より5ヤード以上も伸びた。前週の下部ツアー「あおもりレディス」を制するなど、36歳のゴルフは今、輝きを増している。

 福岡県内の自宅から車で10分の所に住む母に、大会中は子どもを預けている。開幕前だった。

「ママ行かないで」と涙を流す娘に後ろ髪を引かれながら、プロとして職場へ向かった。「チャンスはあると思う。(子どもを)親に預けて出ているからには、成績を残さないと申し訳ない」。最終日は子どもが応援に駆けつける可能性も。11年ぶりの歓喜を、最愛の家族とともに迎える。(高木 恵)

 ◆一ノ瀬 優希(いちのせ・ゆうき)1988年10月5日、熊本市生まれ。36歳。2007年7月のプロテストで一発合格。同年、新人戦の加賀電子カップで優勝。13年のTポイントレディスでツアー初V。14年はヨコハマタイヤPRGRレディス、サイバーエージェントレディスで2勝。158センチ、54キロ。

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