◆陸上 全国高校総体(インターハイ)第3日(26日、ホットスタッフフィールド広島)

 男子100メートルのタイムレース決勝は、石川・星稜高2年の清水空跳(そらと)が10秒00(追い風1・7メートル)の日本歴代5位タイ、日本高校新記録、U20(20歳未満)日本新記録で優勝した。従来の日本高校記録とU20日本記録は桐生祥秀(京都・洛南高)が2013年にマークした10秒01。

同じ競技場で12年ぶりに更新した。さらにU18(18歳未満)の世界記録(10秒06)も更新し、9月の東京世界陸上参加標準記録(10秒00)もクリアした。

 その名の通り「空を跳ぶ」ような走りを見せた16歳の超新星について、男子100メートルの元日本記録保持者で中京大副部長の青戸慎司さん(58)は「スタートから動きが良く、後半も体が全くぶれずに走り切った」と称賛。その上で「東京世界陸上でも見てみたい」と期待を込めて話した。

 今年のインターハイは暑さ対策として、競技日程と競技方式が大幅に変更。400メートル以下の種目は、予選・準決勝・決勝の3ラウンド制から予選・決勝の2ラウンド制に短縮。決勝は、準決勝進出相当の24人でタイムレース決勝で、番組編成は均等割りで行われている。

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 清水君は、スタートから動きが良く、後半も体が全くぶれずに走り切った。

 全国高校総体では格が違った。スーパー高校生だ。

 暑さ対策のため、今年のインターハイは、異例のタイムレース決勝となった。その1組目で同じ高校2年生の菅野翔唯君(群馬・東農大二)が追い風2・4メートルの参考記録ながら10秒06の好記録をマークした。

その時点で清水君の自己ベスト10秒19を超えており、普通の選手なら硬くなるし、動揺もする。しかし、清水君は、その状況で自分のできる最高の走りをした。

 大一番に強い。ぜひ、東京世界陸上で清水君の走りを見てみたい。

 例年のインターハイは予選、準決勝、決勝と3本を走るが、今年は予選と決勝の2本に減った。暑さ対策ということに加え、成長期の高校生には身体的な負担が軽減され、プラスの面は大きいと感じた。

 清水君は、U18世界最高タイムをたたき出したが、本当の勝負はこれからだ。幸い、同世代に菅野君ら能力がある選手が多い。みんなで競り合って世界にチャレンジしてほしい。

 将来、世界で戦うために競技力以外でも大事なことがある。それは英語力だ。レベルが上がれば海外のレースが多くなる。

その時、世界中のライバルたちに気後れすることなく接し、必要であれば審判に堂々と主張する必要もある。高校生アスリートの皆さんは、英語も頑張って勉強してください。(男子100メートル元日本記録保持者、中京大副部長)

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