プロボクシングWBC&IBF世界バンタム級(53・5キロ以下)統一王者・中谷潤人(27)=M・T=が27日、東京・港区のSIX WAKE ROPPONGIで、2012年ロンドン五輪金メダリストで元WBA世界ミドル級(72・5キロ以下)スーパー王者・村田諒太さん(39)とともに、ボートレースのSGオーシャンカップのテレビ中継にゲスト出演。本番を前に報道陣の取材に応じ、ボートレースに魅力を感じる理由などを語った。
小学校の卒業文集に「ボートレーサーになりたい」などと書いたことがある中谷は、ボクシングとボートレースに強い共通点を見ているという。「ボートレースは“水上の格闘技”とも呼ばれていて、激しい駆け引きとか楽しみにしてます。選手個人個人の思いを持って闘うから熱いものを感じます」と中谷。3月の「ボートレースクラシック」の時も準優勝戦のテレビ中継でゲスト出演し、ボートレースから強い刺激を受けたという。村田さんが「ボートレースはこの数年、伸びているし、社会貢献も果たすなど、勢いを感じられる。選手は年齢的に長く闘うが、体重をずっと維持しないといけないからリスペクトを感じます」と話すと、世界3階級制覇王者は大きくうなずいた。
実際に使われるボートに乗って艇内の機材やエンジンなどを興味深く眺めた中谷。6月には前IBF王者・西田凌佑(六島)と初の王座統一戦に臨み、6回終了TKO勝ちでビッグマッチを制したが、この日のSGを前に大舞台に臨む気持ちを聞かれると「闘うに当たっては準備を大切にしている。最悪な場合も想定して準備しています」と話した。村田さんも「準備が全てだだと思う。今日はあれをやろうとかはできない。普段通りにやるだけ」と同調したが、「ただ、ひらめきは大事。
中谷にはスーパーバンタム級の世界4団体統一王者・井上尚弥(32)=大橋=と来年5月頃に東京ドーム決戦への期待が高まっている。井上は9月14日、名古屋のIGアリーナでWBA世界同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)との防衛戦が控えているが、中谷は「アフマダリエフ選手はタフな選手なので、どういう崩し方をするか注目している。尚弥選手のプレッシャーに(アフマダリエフが)どう耐えるか」と注目点をピックアップ。そう話す中谷の長所について、村田さんは「テンポ、ですね。ワンツーと同じテンポでアッパーやフックが来るので(相手は)見えにくい」と指摘。頼もしそうに見つめた。
2人は「どういう選手が強い選手か」と尋ねられると「どういう状況でもハイパフォーマンスをして力を発揮するのが強い選手。SGを取るという強い思い、かける思いが表れてくる」と中谷が言えば、村田さんも「普段やっていることを出せるのが強い選手」と強調した。
中谷はテレビ番組出演後には、村田さんやボートレーサーで今年SGで初優勝した佐藤隆太郎とともにスペシャルトークショー。ボクシングに通じるボートレースの高度な勝負の駆け引きに魅せられる1日を楽しんでいた。