◆大相撲 名古屋場所千秋楽(27日・IGアリーナ)

 東前頭15枚目・琴勝峰が名古屋場所で初優勝した。ボディービルダーで、父の手計(てばかり)学さん(60)がスポーツ報知に喜びの声を寄せた。

 千秋楽の昼に、千葉・柏市から名古屋に到着し、琴勝峰の初賜杯を見届けた。歓喜の思いがあふれ出た。

 「お疲れさまの言葉しか浮かんできません。本当におめでとう」

 学さんは柏市内で居酒屋「達磨」を営む。本場所中は包丁を持つ手を止め、大相撲中継を見守った。

 「開店が17時なんですよ。今場所の関取(琴勝峰)は幕内下位。NHKで中継されるのは、これまで開店前でした。仕込みがあっても、じっくりと取組を見ることができたのですが。優勝争いで幕内後半戦の登場となってからは、開店直後にバタバタしながら見ていました」

 学さんはボディービルダー。60歳になった今も週6日、トレーニングに励む。「子供たちに自分の姿を見せたい」との思いから、筋トレ中心のユーチューバー亀仙人(かめせんと)としても活躍中だ。

琴勝峰は190センチ、167キロの屈強な体格。粘り強い下半身は、幼少期から培った体づくりにある。大切にしたのは柔軟性。子育てから「筋力は取り戻せても、体の柔らかさはなかなか取り戻せない」という信念があった。

 「関取が相撲を始めたのは幼稚園児の頃。風呂上がりの股割、ストレッチを日課にしました。夕食前には必ず四股を踏ませました。食事も肉、魚などタンパク質を多めに。母が作る辛口の海鮮鍋が好物でした」

 新入幕だった20年7月場所(東京開催)の高安戦で獲得した懸賞は両親にプレゼントしてくれた。

 「懸賞金はありがたくて、今も使えません。母の日には弟(幕内・琴栄峰)とカーネーションを実家に届けてくれたこともあります。私には毎年節目に大好きな芋焼酎をね。

大切な日に飲もうと思ってずっと我慢して、自宅に未開封の酒瓶がズラッと並んじゃっていて。念願の祝杯ですね」

 23年初場所は千秋楽でV逸。待ちに待った瞬間だ。

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