U―15・Jリーグ選抜とリバプールU―15のアカデミーマッチが29日、味の素フィールド西が丘で行われ、Jリーグ選抜が1―0で勝利した。前半21分、ミスをついて相手ゴール前でボールを奪うと、FW太田凜空(鳥栖U―15)が落ち着いて流し込み先制。

この1点が決勝点となった。J選抜を指揮した川井健太監督は「選手たちは本当に貴重な経験ができたと思う」と試合を振り返った。

 昨季まで鳥栖を指揮し、今季途中には横浜FMの監督候補にも挙がった川井監督。初だというU―15世代の指揮で対戦したリバプールについて「トップチームが目指しているフットボールから逆算して、今の年代に必要なものをトレーニングしてゲームでやろうとしている。少し我々のチームと違ったところが、機敏さというか。単純な走るスピードじゃなくて、おそらく判断のスピード。こうなったらこう、というものをいい意味でパターン化しているのかな、というのをこの年代でもやるべきチームはやっているんだな、と感じました」と印象を明かした。

 この試合、ウィングのスピードを生かしたリバプールのカウンターなどに後手を踏む場面もあったが、J選抜も190センチのGK新村和史(大宮U―15)を擁し、川井監督も「案外、サイズ感では負けていないな」と感じたという。一方で「判断スピードは、彼ら(リバプール)の方が速かったです。フィジカルは追いつこうとしているけど、逆に日本人の良さであったアジリティー、速さ、俊敏性では追いつかれてきている。じゃあ、我々日本人は何を武器にしますか、という時代になってきている」と分析した。

 では、日本人は何を武器とすべきか。

その答えについては、はっきりとした考えも述べた。「日本人、というところを考えた時には、やはり判断、テクニックが非常に重要になると思いました。(この試合であった)スペースに出されて走られて、というものを、我々も目指すのは難しい。じゃあ、何で勝負するかというと、そういうボールを出させない、もっともっと相手を外す、グループで局面を突破する、そういうものを身につけないといけない。プロ、世界で戦うにはそこはもうマストかな、と思いました」

 一方でプレーをパターン化することで、判断スピードを上げているリバプールを目の当たりにし「もしかしたら(課題は)選手ではなく、指導者なのかもしれない。僕は幸いにも、その感覚をこういうタイミングでいただけた。予想通りだなという部分もありましたので、すごく勉強になります」とうなずいた川井監督。プロを目指す選手たちだけでなく、指揮官自身も大きな刺激を得た様子だった。

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