J1柏は2日、柏市内で公開練習を行った。公開練習後にMF原川力(31)とDF杉岡大暉(26)が取材に応じ、けがで離脱していた期間の心境と今後のリーグ戦へ向けての意気込みなどを語った。

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 実力者2人が戻ってきた。7月30日のSランス戦(2〇1)で原川と杉岡がけがから復帰。ともに前半30分から後半16分までプレーした。原川は「体の違和感はないが、(周囲を確認するため)首を振って見たものと体(の動き)がまだちゃんとリンクしていない感じが若干ある。試合中のパワーの使い方も、試合をやっていくうちにつかめるかなと思います」と振り返ると、杉岡は「(ケガして以降)初めての対外試合。でも、(期間が)空いた割にはスムーズに入れたイメージはあります」と手応えを語った。

 原川は2016年のリオデジャネイロ五輪代表で、今季開幕前までにJ1通算211試合に出場。杉岡も柏加入前に湘南、鹿島、町田でJ1通算169試合に出場し、22年の東アジアE―1選手権の代表にも選ばれた実力者だ。ともに今季から柏に加入すると、リカルド・ロドリゲス監督のもとで存在感を発揮。原川はボランチ、杉岡は3バックの左で開幕戦の先発に名を連ね、主力の一員だった。

 しかしけがに見舞われ、活躍は長く続かなかった。杉岡は開幕4戦目となる3月2日の浦和戦にて負傷交代すると、左大腿(だいたい)二頭筋長頭の肉離れと診断されて離脱。

原川は4月6日のG大阪戦で左のハムストリングを負傷。その後、リハビリ中に右のふくらはぎも痛めたことで離脱が長期化した。練習でも別メニューが続き、ピッチに立つ時間が減っていった。

 22年のC大阪時代に、左肩関節の脱臼で全治6か月を経験した原川だが「(脱臼は)下は動くので、ある程度ストレスは感じずにやっていた。今回は動けなかったので、めちゃくちゃストレスだった。やれることはやっていましたけど、ピッチにいないと何も始まらないなと思いました」と吐露。杉岡も離脱した当初は、試合を見て、自身が戻った際のスプリントの意識などをイメージしていたという。しかし、「思ったより回復が良くなくて長引いちゃった」と、しばらくしてからは体のケアに専念。「ここまで長い離脱は初めて。チームに申し訳ない気持ちもありますし、チームがうまく行っている中で、もちろん悔しい気持ちもありました」と、離脱していた4か月間の心境を明かした。

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 原川と杉岡が離脱後もチームは好調だった。原川の位置にはMF山田雄士が台頭し、日本代表MF熊坂光希の離脱後は法大から加入した大卒新人のMF中川敦瑛もアピールを続けている。

杉岡の位置はDF三丸拡が現在先発を務めており、攻守で大きな役割を担っている。前節の鹿島戦(2●3)で首位から3位になったが、依然として今季の優勝候補の1つで間違いない。躍進を続けるチームに「すごいなと思っていましたし、うらやましいなという気持ちもすごくありましたね」と杉岡は言う。もし2人が離脱しなかったら―。どの選手も別の役割で存在感を発揮していただろうが、今とは違った起用法になっていただろう。

 ただ、さすがは実績十分な2人。決して自身に求められる役割は見失っていない。原川は「どのポジションも(誰かが)抜けたりした後に、入ってきた選手がプレーで証明してくれている。それが、このチームの今の強さ」と指摘した上で、「それを見ている分、また僕も0から力を証明しないといけない。刺激を受けながらまた0からアピールできたら」と力を込める。杉岡も「負けて役割が回ってくるのではなく、勝っているいい循環のチームでチャンスをつかみ取る方が(いい)。悔しい気持ちはもちろんありましたけど、シンプルに優勝争いをしていることに感謝ですし、その中に入っていきたい」と前を向いている。

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 リーグ戦は残り14試合。天皇杯は敗れたが、ルヴァン杯は準々決勝に残っており、2つのタイトルのチャンスが残されている。同じタイミングでDF片山瑛一も復帰し、欠けていたピースがそろった。

 原川は「自分の特長を忘れずに、チームでやりながら、プラスαで違いを見せるのがプロだと思う。特に周りどうこうではなく、自分の特長に集中できれば」と意気込む。昨季町田で首位争いを経験した杉岡も「(昨年の後半は)対策をされて、そこからなかなか勝てなかった。レイソルもその難しさはここから絶対あるが、後半戦は(相手の対策を)上回る内容ができている。そこに自分や(原川)力くん、夏加入した選手たちが加わる。僕たちも夏加入くらいの気持ちでやりますし、違うアクセントを加えて、さらにブーストをかけられれば」とリーグ優勝を後押しする存在になることを誓った。原川と杉岡の復帰がどのような影響をもたらすか、注目だ。

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