女子プロゴルフのメジャー、AIG全英女子オープンを制した山下美夢有(みゆう、24)が5日、帰国した。世界ランクは前週の15位から自己最高の6位に浮上。
新たなメジャー女王は晴れやかな表情で、約1か月ぶりに帰国した。山下はプロゴルファーでは、2019年8月の全英女子オープンを制した渋野日向子以来2人目となる日本記者クラブでの会見に出席。米大リーグの大谷翔平投手(31)ら“時の人”が招かれる場で「すごい名誉なこと。もう本当にありがたいことだな、と。私がここに座っていることもなんか不思議な感じ」と笑った。
会見前には「夢」と大きな文字で記した。「小さい頃からの夢だったメジャー大会で優勝できて。お父さん、お母さんが『美しい夢が有る』という漢字の名前を選んでくれた。この名前がすごい私自身大好きで」とその理由を説明した。
プロ6年目で米ツアー初勝利となるメジャー優勝をかなえたが、150センチの体にはまだまだ大きな夢が詰まっている。
今季米ツアーの新人賞争いで首位に浮上。昨季の西郷真央以来日本人3人目となるタイトルへ「取りたいなとは思います」。さらに年間女王争いでも4位につける。「大きな大会で優勝したい」と、今季最終戦のCMEツアー選手権(11月、米フロリダ州)が頭にはあり、1987年の岡本綾子以来、日本人2人目の米年間女王の座も視野に入る。
世界ランクは自己最高の6位に上昇した。「やっぱり、もちろん、世界ランキング1位になりたいなというのはあります。しなきゃいけないことをまず考えて結果、そうなれるように頑張りたい」。
会見の終盤、「一番近くで支えてくれていた。ここまで来られたのも私ひとりじゃない」と幼少時から練習をともにしてきたプロの弟・勝将(まさゆき、22)、妹・蘭さん(17)への感謝の言葉を口にすると、大粒の涙がこぼれた。熱い思いが、次なる美しい夢へと女王を突き動かす。(榎本 友一)
◇美夢有に聞く
―コーチである父の指導について
「技術はもちろん私の方がありますし、お父さんはスコアも100前後で(笑)。
―アメリカでの生活への順応。
「オフの時はリフレッシュして、海外に行ったり、山登りしている。週に1回、ハンバーガーも食べている」
―次戦・北海道meijiカップへの思い。
「メジャーでも応援してくださる方がいて、日本の試合にも出たいと思っていた。日本ツアーに若い選手がたくさん出てきて、その選手も見たい」
【山下美夢有が目指す夢】
◆米ツアー年間女王 前週終了時のランク上位60人が出場する最終戦「CMEツアー選手権」の優勝者
◆世界ランク 過去2年間の成績をポイント化し、出場試合数で割った平均ポイントで順位決定。出場選手のランキングや、大会ごとにポイントが変動
◆米ツアー新人賞 本格参戦1年目の選手が対象でシーズンごとに選出。各大会の順位に基づいて獲得するポイントで争う。日本勢では1990年に小林浩美、2024年に西郷真央が受賞