◆テニス ▽ナショナルバンク・オープン(5日、カナダ・モントリオール)

 女子シングルス準々決勝が行われ、4大大会4度の優勝を誇る世界ランキング49位の大坂なおみ(フリー)が、68分の快勝でベスト4に進出だ。同13位でウィンブルドン2度の4強入りの実績を持つエリナ・スビトリナ(ウクライナ)に6-2、6-2のストレート勝ちし準決勝に進出した。

 今大会は、世界ツアーの中で、4大大会に次ぐレベルのシリーズで、年間10大会しかない。4大大会を含む上位2シリーズで、大坂が4強に進んだのは、2022年マイアミオープンで準優勝して以来3年4か月ぶりとなった。

 大坂が、現在目指しているスタイルが、ほぼ完成形に近いプレーだった。無理をせず、安定したストロークで振り回し、相手のショットが短くなったり、チャンスボールが来たら攻撃に転じる。攻守のかみ合わせと言えば簡単すぎるが、産休から復帰した後、これを目指してきた。

 過去、大坂は、4大大会4度の優勝を誇るが、今と違い、すべてパワーで押し切ったスタイルでの快挙だった。失うものがないノンプレッシャーの世界。ミスも少なく、パワーで押し切れるプレーに、誰もが圧倒された形だ。

 しかし、頂点を極めると、失うものが山積するようになる。負けるのが怖くなり、ミスへ恐れが生まれる。しかし、逆に、リスキーなパワーで押し切るスタイルは、自信を失うことでミスが量産された。これが、大坂が不振に陥った最大の要因である。

 パワーテニスでプレーしていた大坂にとって、守りとは、非常に難しいものだった。相手のどのショットを守り、どのショットを攻撃するのか。その判断は、攻撃一辺倒の打ち切るスタイルだった大坂に混乱を与えた。復帰後、何度か1シーズンで守りを取り入れても、数か月しか持たず。攻守の切り替えをあきらめた。しかし、この数か月、ようやく実ってきた形だ。

 準決勝では、同19位のクララ・タウソン(デンマーク)と対戦する。今年の開幕戦ASBクラシック(オークランド・ニュージーランド)決勝で、大坂は第1セットを奪いながら、腹筋を痛め途中棄権した相手だ。大坂同様、パワフルな相手だが、この日のプレーができれば決勝進出の可能性は高い。

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