◆テニス ▽ナショナルバンク・オープン(6日、カナダ・モントリオール)

 女子シングルス準決勝が行われ、4大大会4度の優勝を誇る世界ランキング49位の大坂なおみ(フリー)が、2021年2月の全豪オープン以来、約4年半ぶりのツアー優勝に王手をかけた。今年1月の開幕戦ASBクラシック(ニュージーランド・オークランド)決勝で、リードしながら腹筋を痛め途中棄権を余儀なくされた因縁の相手で、同19位のクララ・タウソン(デンマーク)に、6-2、7-6のストレート勝ちした。

 ツアー決勝進出は、同ASBクラシック以来約7か月ぶり。4大大会とWTA1000大会の上位2シリーズでは、2022年4月に閉幕したマイアミ・オープン以来3年4か月ぶりの決勝となった。

 決勝では同85位のビクトリア・エムボコと対戦する。地元カナダの新星で、4回戦で世界2位のコリ・ガウフ(米国)、準決勝では2022年ウィンブルドン覇者のエレーナ・ルバキナ(カザフスタン)を破り勝ち上がった。両者は初対戦。勝利後、大坂は「全く(決勝は)予想してなかったけど、本当にエキサイティング。明日(決勝)は少しナーバスになるかもしれないけど、1人でも2人でも私のことを応援してくれるとうれしい」と、決勝での応援を期待していた。

 準々決勝と同様に、大坂が目指すニュースタイルが、パワー対決を制した。攻守がかみ合い、課題だったメンタルも焦ることなく冷静で、ピンチになっても、以前のように決め急ぐこともなかった。第1セットの2オールから、一気に5ゲームを連取。主導権を最後まで渡さなかった。

 4大大会4度の優勝を成し遂げた時と大きく変わったのが、第1サーブとフォアハンドだ。

以前は、両ショットともに、球の弾道が直線的で、スピードとパワーを重視。ミスと隣り合わせでリスキーだが、怖いものがない時で、ラケットを迷いなく振り切ることで、ミスを補う決定打で勝負できた。

 現在は、第1サーブは横回転をかけるスライス・サーブを多用。フォアハンドは、順回転を多くかけるトップスピンで、弾道は少し山なりとなった。スピードは以前より落ちるが、ネット上の高い位置を飛ぶためミスの確率は減る。大坂のパワーで順回転を多くかければ、バウンドしてから大きく弾むため、相手はコントロールすることが難しくなる。このショットを多用し、相手を振り回し、本当のチャンスボールだけたたき込むスタイルだ。

 決勝の相手は、女子テニス界期待の新星、エムボコだ。勢いに乗る若手は、以前の自分を見るようだが、勢い一辺倒の大坂はもういない。相手が球種を変えたり、ドロップショットを放っても、焦ることなく冷静に対処。心をかき乱されることなく決勝に進出だ。どこまで、このスタイルを貫けるか。

それが4年半ぶりの優勝へのカギとなる。

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