俳優の原田龍二(54)は、デビューのきっかけになったジュノン・スーパーボーイ・コンテストから、今年で35年になる。原田といえば、2019年に報じられたファンの女性との“4WD不倫”が有名だが、その後も仕事は途切れず、3年ぶりの主演映画「ハオト」(丈監督)が8日に封切られた。
週刊文春による「4WD諸国漫遊不倫」の報道から6年がたった。原田は「大変でしたね。味で言えば、スパイシーでした」と照れくさそうに笑った。
不倫報道で表舞台から消えていく著名人がいる中、仕事の量は「(報道前と)変わらない」。4月からTOKYO MXで冠番組「湯ったり温泉バラエティ 原田龍二の日本全国!湯一無二」(第4土曜・後6時)が放送開始。8日に主演映画「ハオト」が封切られた。2020年5月に開設したYouTubeチャンネル「ニンゲンTV」は、総再生回数9950万回(6日現在)を数え、大台が目前に迫っている。
正直で、どこか憎めない人だ。不倫報道の翌日、48分間に及ぶ謝罪会見を開き、潔く不倫を認めた。
「穴があったら入りたい状況なのに、穴から出ないといけない。
格闘家のような覚悟と気迫はTBS系「世界ウルルン滞在記」で培われた。24歳の時、スリランカのインド洋沖でカツオの一本釣りに挑戦。ロケの最終日に大しけで遭難し、生死の境をさまよった。
「一緒に船に乗っていた3人の漁師が、4メートルくらい先なのに大雨で見えないほど。50年活動していた漁師の方も、経験したことのないぐらいの大しけでした。ずっと天気が良くなくて、漁さえできなかった。
その1年後、再び「ウルルン滞在記」に出演した。モンゴルでは30~40キロの速度で走る馬から落馬。追い打ちをかけるように、馬に蹴られて大けがした。「草原は軟らかいと思いましたが、硬かった。膝から落ちたから良かったけど、頭打ってたら死んでいましたね」
同番組には10年間で10回登場。「(『ウルルン』で)根性が鍛えられ、順応性が磨かれたと思います」。死の淵を経験し、はい上がってきたからこそ、常に前向きな姿勢を忘れない。
その姿勢を貫けるのは家族の存在が大きい。不倫報道の当時、日本テレビ系「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」で披露した裸芸がきっかけでブレイク中だった。
03年にTBS系時代劇「水戸黄門」の撮影のため、一家で京都に移住した。縁もゆかりもない土地で、夫婦二人三脚で我が子と向き合ってきた。
「撮影が早く終わったら、子供たちを自転車に乗せて遠くまでサイクリングして、公園で遊ばせていました。1時間かけて行って、1時間遊んで、また1時間かけて帰る。楽しかったな~」。父親として過ごした濃密な時間。「早く仕事を終えて、子供たちと出かけたいなって(毎日)思っていました。愛しているという気持ちをずっと継続していた。それで見放されなかったのかな」
妻・愛さんとは交際期間を含めると30年以上、連れ添っている。
公開中の映画「49日の真実」(浅川梨奈主演)に出演し、映画「ハオト」で主演を飾るなど順調な俳優人生が続く。「演技はセンス。培うものではないと思うようになってからは、手放しになりましたね」。役者を始めて33年、肩肘張らずに撮影に臨むようになった。
「ハオト」は戦後80周年平和祈念作品と位置づけられ、太平洋戦争の末期、特殊機密施設が舞台。原田は元エリート海軍兵役。「人間は戦争を起こしてしまう。でも、困っている人を助けたり、花をめでたり…不思議な生き物」と語り、人間の本質を考えるきっかけになった。
前回の大阪万博が開催された1970年に生まれた。現在54歳。「平均寿命を80年と考えたら、僕はあと25年ほど…」。少し考え込んだ後に「どうせ最後に死んでしまうなら、楽しく生きていきたいですね。愚かなことも、美しいこともする。それを受け入れたら、実りある人生になるような気がします」と、かみ締めながら語った。これからも人間らしく生きていく。
◆原田 龍二(はらだ・りゅうじ)本名・平井雅章。1970年10月26日、東京都生まれ。54歳。聖学院大中退。92年TBS系ドラマ「キライじゃないぜ」で芸能界デビュー。