2日に東京・後楽園ホールで行われたプロボクシング興行に出場した2選手が硬膜下血腫で死去したことを受け、ジム会長らで構成される日本プロボクシング協会の理事らが20日、都内で臨時理事会を開催。KO負けした選手の出場禁止期間について、CT検査を受けて許可を受けた場合は90日間から60日間に短縮されるルールの廃止が決定。
柳光和博健康管理委員長(RK蒲田ジム会長)は「今は試合出場禁止適用となるのがKO負けの選手だけだが、倒し倒されの打ち合いをしたのに、すぐに試合ができるのはおかしい。試合内容を見て協会員が判断した場合、KOじゃなくてもダメージのある試合をした場合は90日間隔を置いてもらう」との考えを示した。
12日に日本プロボクシング協会と日本ボクシングコミッション(JBC)が開催した事故防止委員会では、当日の体重が前日計量から10%以上増量した選手への次戦での転級命令、ハイドレーションテスト(尿比重検査)・体組成測定の導入、プロテスト受験時の頭部MRI検査、全興行での救急車配備、などの対策を実施する方針が確認された。
臨時理事会では、それぞれの対策について検討。10%増量選手への転級命令について、柳光健康管理委員長は「10%以内に増量を抑えようと我慢して、脱水症状が治らない状態で試合をする選手が出てきて、逆に危険な試合が増える場合もある。データを検証しながら今後どうするかを検討したい」とした。
一方で東日本ボクシング協会では今後、計量時、試合前、試合後の脱水状態を調べるためにハイドレーションテストを導入していくという。柳光健康管理委員長は「ウエートも10%未満の増量を守らせても、世界戦の時は(そのルールと)関係なくやっている選手と戦わなきゃいけなくなる。それだと世界に挑戦しても逆にリスクが高くなる。データを集めて検証して、何が最善か、今後日本ではどうしていくかという話を進めていきたい」と話した。
プロテスト受験時の頭部MRI検査、全興行での救急車配備などの対策についても、継続審議となった。
また、柳光健康管理委員長は「この2年半でプロ加盟ジムで開頭手術を受けた会員が6人いる。1人は練習生同士のスパーリングで亡くなっている」と明かし、「本来は事故をゼロにしたいが、ダメージを競う競技というのもあり、すべてゼロにするのは本当に難しいこと。ただ、ゼロに近づけるように、協会、JBC、世界のボクシング界で考えていかないといけないと思います」と切実な思いを述べた。