ラグビー・リーグワン2部のNECグリーンロケッツ東葛を運営するNECは20日、2025―26年シーズン後のリーグからの退会を前提に、チーム譲渡へ向けた検討を開始したと発表した。「持続可能な形でチームをさらに発展させていくことは困難」と判断した。

創設5季目のシーズン開幕となる12月までに譲渡先が決まらなければ退会となり、創設1年目の22年に事実上の廃部となった宗像サニックス以来、2例目となる。日本選手権3度優勝の名門が、重い決断を下した。

 日本ラグビー界に激震が走った。1985年創部の名門が事実上の撤退を宣言した。理由としてチームは「中長期にわたり持続可能な形でチームをさらに発展させていくことは困難と判断した」と説明。関係者によれば、選手やスタッフにもこの日の午前に伝えられたという。12月までに譲渡先が決まらなければ、クラブとしては存続する可能性はあるが、リーグからは退会する。

 この日オンライン会見したリーグワンの東海林一専務理事によれば、約1年前にNECから「さまざまなチームのあり方の相談」を受けた。NECサイドは、利益につながる事業の見直しを進める中でラグビーチームの運営を継続する意味合いを見いだせず、譲渡を検討。退会となれば22年に事実上廃部した宗像(当時3部)以来、2例目。同専務理事は「大変残念。非常に重く受け止めている」とした。

 リーグにとって深刻なのは、宗像のように母体企業の業績悪化が退会の主な理由ではないこと。プロ化をうたうリーグワンでは、選手の人件費などが高騰、1部チームの運営費は年20億円規模と言われる。NECも保有するバレーボールチームなどと比べ所属選手は多く、試合数は少ない。更に昨季レギュラーシーズンの1試合平均観客数は7908人と、1昨季より数千人規模で減少。水面下の危機が表に出た形となった。

 ある上位チームの運営幹部は「リーグ、各チームの向いている方向が、一枚岩になっていない。プロスポーツに舵を切ったのだから、邁進(まいしん)していく姿勢を見せないといけない」と指摘する。専務理事は「ラグビーの価値、収益性向上の面でチームを保有する方に納得いただける、その努力をしていく必要がある」と語ったが、名門撤退という突き付けられた現実は非常に重い。

 ◆NECグリーンロケッツ東葛 NECラグビー部として1985年創部。2003年に初制覇した日本選手権は、リーグワンの前身、トップリーグ時代含めて優勝3回。マイクロソフトカップ優勝1回。22年スタートのリーグワンは3季目の23―24年シーズンに1部から2部落ち。

21年、千葉・我孫子市などをホストエリアに「NECグリーンロケッツ東葛」に改称。ホストスタジアムは柏の葉公園総合競技場。エンブレムはロケット。主なOBは元日本代表のFW箕内拓郎、SO田村優、SH田中史朗ら。

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