◆第54回インターナショナルS・英G1(8月20日、ヨーク競馬場・芝2050メートル、良=6頭立て)

 ダノンデサイル(牡4歳、栗東・安田翔伍厩舎、父エピファネイア)は日本馬初の快挙には手が届かなかった。バーキャッスルが大逃げを打つなか、大きく離れた2番手を追走する形で直線に入って追い出されたが、失速し、5着に敗れた。

05年ゼンノロブロイ(2着)、19年シュヴァルグラン(8着)、24年ドゥレッツァ(5着)に続き、またしても壁にはね返された。

 ダノンデサイルは、横山典弘騎手とのコンビで昨年の日本ダービーを優勝。有馬記念3着後、今年初戦となったアメリカJCCから戸崎圭太騎手とコンビを組み、前走のドバイ・シーマクラシックで海外G1を制した際には、英語での馬上インタビューで「ベリーベリーホース」と“迷言”が飛び出したことも話題になった。

 英国遠征前、安田調教師は海外転戦などはせず、ジャパンCなどを選択肢に秋は国内に専念する方針を明かしていた。今後どのような路線を歩むのかにも注目が集まる。

 安田翔伍調教師(ダノンデサイル=5着)「ちょっと特異なレースになって、リラックスするところがなかったところがありました。ラビットを用意してきた陣営があったのですが、この結果をしっかり受け止めて今後に生かしていきたいと思います。無事を確認して、日本に馬を連れて帰りたいと思います」

 勝ったのは、ウィリアム・ビュイック騎手騎乗の英国調教馬オンブズマン(牡4歳、J&Tゴスデン厩舎、父ナイトオブサンダー)。同馬主のゴドルフィンが追加登録で用意した”ペースメーカー”のバーキャッスルを目標に最後の直線で末脚を伸ばし、一気にかわしさった。2走前のプリンスオブウェールズSに続くG1・2勝目を挙げた。その2走前では、最新の「ロンジンワールドベストレースホースランキング」でフォーエバーヤングと並ぶ1位タイのレーティング127を獲得している。前走のエクリプスSでは、今回も出走した3歳のドラクロワの首差2着に敗れていたが、4・5キロあった斤量差は今回は3・5キロ。

きっちり巻き返して、8戦6勝、2着2回とし、強さを誇示した。勝ち時計は2分7秒90。2着には追い込んだドラクロワ(ライアン・ムーア騎手)が続き、バーキャッスルが3着に粘り込んだ。

 ビュイック騎手(オンブズマン=1着)「ペースメーカーを使って、ハヴリン騎手(バーキャッスル=3着)がいい役目を果たしてくれ、引っ張ってくれました。きょうはレースがしやすかったです。プラン通りに行きました。ペースがぴったりでした。ペースメーカー役は力もある馬。ダノンデサイルは強敵だと思っていて、日本の馬にも十分に注意をしていました。途中で伸びかけて、最後にもうひと伸びしてくれました。道中はスムーズでいいリズムで進められました。ペースメーカーがいたから、いい脚を使うことができました。

戦略、戦術がうまくいって美しい競馬ができました。この勝利を誇りに思います。これまで普通の馬では適応できないような競馬をしてきました。いい仕上げをしてくれたJ&Tゴスデン調教師に感謝しています」

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