東京世界陸上(9月13~21日、東京・国立競技場)でスペシャルアンバサダーを務める俳優の織田裕二(57)がスポーツ報知の単独取材に応じ、熱く見どころを語った。海外勢の注目選手には、ともに世界記録保持者で女子400メートル障害のシドニー・マクラフリン(26)=米国=、男子棒高跳びのアルマンド・デュプランティス(25)=スウェーデン=を挙げた。
―東京で世界トップ選手を生で見られます。特に注目している選手はいますか。
「マクラフリンが、すごい個人的に楽しみでしょうがない。今回はハードルではなく初めて400メートルで出場してきます」
―ひかれる理由はどこでしょうか。
「本当に魅力的でチャーミングな人。たくさんの選手を見てきた中で、ちょっと違うなって。(ウサイン・)ボルトじゃないけど。なんだこの才能はって感じた選手。どんな走りをするのか楽しみ。彼女の(この先の)人生を早回しにして見せてくれないかなって思うくらい」
―男子棒高跳びのデュプランティスは13日に6メートル29をマーク。自身13回目の世界記録更新を果たし、東京に来ます。
「いよいよ(6メートル)30センチまであと1センチですか。世界陸上東京大会で、ちょっと夢っていうか。考えられないですよね。30センチにいっちゃうのかな。(少し前に)6メートルジャンパーって世界で指折りって言っていたのに…。彼の記録は何十年と破れる人がいないかもしれない」
―超人的に感じます。
「あんなに高く跳んで着地の衝撃は大丈夫? 下のマットは新しくしなくて良いの? デュプランティス用にって。違う心配をし出しちゃう。着地の衝撃がちょっと、とか言って思い切って跳べなかったらダメなので(笑)」
―日本勢も、男子100メートルで10秒00を出した清水空跳(そらと、16)=石川・星稜高=、女子800メートルで日本選手権2連覇の久保凛(17)=東大阪大敬愛高=ら若手が出てきました。
「(清水は)サニ(サニブラウン・ハキーム)とはタイプが違うよね。見ましたけど、よくあれだけのストライドとピッチを出したなって思います。また良いタイムを出してくれたらうれしいです。
―一気に伸びる年代です。
「世界が(ハイレベルで)とにかく厳しいから、その子たちにとって良い環境、海外の強い選手と戦うとか世界のスピードを体感する機会をもっと作ってあげたいよね。あとは国立競技場でもっとジュニアの大会とかもやってほしいね。そうしたら(設備面で)どこに何があるって全部わかっていて、あとは走ることだけにフォーカスできる。もっともっと地の利を生かせるような、そういう育成っていうのもあるのかなって思います」
―現地観戦の良さや見どころを教えてください。
「今回、世界記録保持者がこんなに現役で集まるってなかなかないと思う。生でその速さ、すごさ、高さを体感できる大チャンス。意外とテレビで見ていると分からないすごさがあるんです。走るスピードとかも『はえー!』っていう声が思わず出てしまったりとか。『たかっ』とか、『うわ、すごっ。こんな北口選手のやり、飛んでいくの?』とか。
◆取材後記
メディアデーと題され、織田さんは何社もの取材を受けているはずだった。だが、「見るべき海外選手は…」と質問した瞬間、目がキラキラと輝き、推し選手であるマクラフリンの魅力を語り始めた。好きになる選手に共通するのは、競技力だけでなく人柄にあるという。熱量ある語りに引き込まれ、マクラフリンがどんな走りをするか気になっている。
撮影時に依頼したクラウチングスタートのポーズも「スーツなんだよなあ…」と苦笑いしながら、ばっちり決めてくれるなど、織田さんの高いプロ意識を感じる取材になった。世界陸上で、どんな熱い言葉が聞かれるのか。今から楽しみだ。(莉)
◆手島記者イチ推し ハードル勢の勢いがすさまじい。男子110メートル障害は16日に日本勢初の12秒台となる12秒92をマークした村竹ラシッド(23)=JAL=。昨年のパリ五輪金メダルは、グラント・ホロウェー(米国)の12秒99。
海外選手では男子短距離のノア・ライルズ(米国)。昨年のパリ五輪では100メートル優勝後にコロナ陽性判定を受けたにもかかわらず、その後の200メートルで銅獲得。遊戯王やドラゴンボールといったアニメ好きで“世界最速のオタク”としても知られる。登場時には、かめはめ波ポーズなど披露。国立でどんなポーズが飛び出すかも見どころだ。(莉)