松本好雄オーナー(87)は23日の中京3Rに所有するメイショウハッケイ(高杉)を出走させ1着となり、個人馬主として史上初のJRA通算2000勝を達成した。1974年に馬主資格を取得。

75年2月9日の初出走から2万7629戦目の到達だった。

 前人未到の偉業を成し遂げた。この日、松本好雄オーナーは所有馬を4頭出走させていた中京競馬場には臨場せず自宅で観戦。「生産牧場、育成牧場、調教師、厩舎スタッフ、騎手など、そういう人とのつながりを大事にしてきたつもりですけど、その結果が今回の2000勝につながったんだと思います」。JRAを通じ発表したコメントにも、感謝を忘れないオーナーらしい心遣いがにじみ出た。

 馬主になって半世紀以上。1975年2月9日の初出走(京都6Rのチェリーパス=8着)からJRA通算2万7629戦目で打ち立てた金字塔だ。各世代、個人馬主としては群を抜く60~80頭を所有。長年にわたり、北海道・浦河を中心に馬産地の振興にも努めてきた。「2000勝という数字は年間40、50勝を続けなければいけないということで、“ばか”でないとできないんじゃないでしょうか」と、ユーモアたっぷりに喜んだ。

 付き合いの長いベテラン騎手が目の色を変えて、節目の勝利を狙うなか、2年目で19歳の高杉が決めた。メイショウハッケイは3代母のメイショウサンサンから続く“4代目”。

生産者の三嶋牧場は今年の宝塚記念を制したメイショウタバルや、帝王賞を連覇したメイショウハリオなども生産したゆかりの深い牧場でもある。管理する本田調教師も「オーナーと縁のある三嶋牧場の馬で勝てて良かった」と感無量の様子。「騎手も調教師も厩務員も、みんなかわいがってもらっている」と競馬サークルを代表して頭を下げた。

 父に代わり、口取り写真に加わった息子の好隆氏=写真=。自身も「メイショウ」の冠で馬を所有している。「電話したら喜んでました。50年以上(馬主を)やっているし、その積み重ねだと思います」と喜びをかみしめた。記録達成後は次々と、関係者が偉業を祝福。競馬界への貢献、そして尊敬の大きさを表すシーンだった。(戸田 和彦)

 ◆松本 好雄(まつもと・よしお)1938年1月6日、兵庫県明石市生まれ。87歳。千葉工大卒。

船舶エンジンや航空機部品などの大型機械部品、産業機械の製造・販売や太陽光発電事業を扱う株式会社きしろ代表取締役会長。2005年から日本馬主協会連合会会長を務め、現在は名誉会長。07年に紺綬褒章、10年に旭日小綬章を受章。座右の銘は「人がいて、馬がいて、そしてまた、人がいる」。妻の和子氏、息子の好隆氏も馬主。

 ◆馬主のJRA通算勝利数 正確な記録が残る1986年以降、クラブ名義も含めると社台レースホースが最多の4396勝。サンデーレーシング(2949勝)、サラブレッドクラブ・ラフィアン(2165勝)、キャロットファーム(2163勝)、松本好雄氏(1919勝)と続く。個人名義での2位は吉田照哉氏(1128勝)、3位は吉田勝己氏(1081勝)となっている。

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