◆バレーボール世界選手権 第2日(23日、タイ・バンコクほか)

 1次リーグが行われ、世界ランク5位の日本は初戦で、同44位のカメルーンに3―0で快勝し、白星発進した。チーム最長身185センチのアウトサイドヒッター・秋本美空(みく、19)が先発出場し、サーブ3得点を含む両チーム最多の18得点と大暴れ。

鮮烈な世界バレーデビューを飾った。母・愛さん(43)が主力で銅メダル獲得に貢献した2010年大会以来、日本を15年ぶりの表彰台へと導く。次戦は25日に同17位のウクライナと戦う。

 期待の大器が世界選手権デビュー戦で躍動した。6月に代表初出場した秋本は、代表で2度目の先発で両チーム最多18得点。第3セット途中にベンチへ下がった19歳は、石川のスパイクで日本の勝利が決まると仲間と笑顔でハイタッチ。主将の石川は「出だしは硬さがあったが、立て直してできた」。秋本も「(初戦は)ちゃんと取りたい」と話していた通り、母・愛さんが活躍した10年大会以来の表彰台へ好発進を決めた。

 秋本の武器はMB荒木と並ぶ185センチを生かしたスパイクだ。第1Sの2―6から決めると、高さのあるカメルーンに対してもライトから決めまくった。さらに、代表デビューしたネーションズリーグ(NL)後に猛特訓したサーブも光った。練習の虫・関と並び居残り練習に励み、毎日50本打ち込んできた。

「トスを高く、上からダダン(と強く打つ意識)」。第3Sの5―6から相手守備を崩し、2連続のサービスエースで快勝への流れを生み出した。

 10年大会当時は4歳で、はっきりとは覚えていない。母の試合の映像も「見ない」と言うが、12年ロンドン五輪で銅メダルを手にした母が「よく道で話しかけられているな」という記憶は鮮明に残っている。メダリストの偉大さを知り、代表に入って世界一を目指す現在は、さらに強く感じている。

 五輪と並ぶ大舞台だ。10代での初出場は82年大会で17歳の中田久美、02年大会で18歳の大山加奈らレジェンドに並ぶ快挙。18日に19歳を迎え「メダルはお母さんの代以来? NLは4位だったので、世界選手権ではメダルを取りにいきたい」と誓った。次世代エースが表彰台への原動力となる。

 ◆2010年大会の日本女子の銅メダル 真鍋政義監督が指揮を執り、データ分析をしながら戦う「IDバレー」で1978年大会銀以来、32年ぶりの表彰台。エース・木村沙織が攻撃をけん引し、1次Lを5連勝で突破。準決勝でブラジルに敗れたが、3位決定戦で米国に3―2で逆転勝ち。

江畑幸子も主軸を担い、セッター竹下佳江、ミドルブロッカーには荒木絵里香、秋本の母・愛らがいた。

 ◆女子のバレーボール世界選手権 1952年に初開催され、日本は60年大会から参加し、準優勝。優勝は3度(62、67、74年)。3年ぶりの開催で、これまでは4年に1度行われてきたが、今年から隔年開催。32チームがA~Hの8組に分かれて、総当たりの1次リーグ(L)を行い、各組上位2チームがノックアウト方式で行われる決勝大会に進む。2次Lは29日~9月1日、同3~4日に準々決勝、同6日に準決勝、同7日に決勝を行う。

 ◆秋本 美空(あきもと・みく)2006年8月18日、神奈川県出身。19歳。小学2年の時、12年ロンドン五輪銅の母・大友愛さんの影響で、Vリーグ男子つくばユナイテッドのジュニアアカデミーで始める。東京・共栄学園中に進み、同高2年時の23年、16歳で代表候補に初登録。3年時の25年1月、全日本高校選手権を制しMVP。憧れは男子代表の高橋藍(23)。

趣味は名探偵コナンのアニメ鑑賞。身長185センチ。

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